【お役立ち情報】障がい者施設の月別研修①

障がい者施設の月別研修①

 (株)日本アメニティライフ協会(以下「JALA」)では、安心してご利用者様に施設での生活を送っていただけるために、職員の育成にも力を入れております。
各施設において、下記の内容に沿って研修を行っております。

施設研修プログラム例– 障がい者グループホーム –

施設研修プログラム

– 障がい者グループホーム –

4月 法令遵守・BCPについて
5月 接遇マナー・コミュニケーション
6月 個人情報保護
7 月 虐待防止、身体的拘束等の適正化 
8月 食中毒予防・感染症予防
9月 非常災害時
10月 セルフマネジメント
 11月 緊急時・事故発生対応(再発防止)
 12月 虐待予防、身体拘束等の適正化
 1月 自閉症、発達障がいの理解と支援
 2月 精神障がいの理解と支援
 3月 身体障がいの理解と支援

法令遵守

障害福祉サービスにおける法令遵守

障害福祉サービス事業者にとって「法令遵守(コンプライアンス)」はとても重要なテーマです。

1.社会福祉サービスにおける法令遵守の目的

  • 障害のある方の 人権・尊厳を守るため
  • 安全で安心できるサービス提供を行うため
  • 職員一人ひとりが 信頼を守る担い手 であることを意識するため

2.関係する主な法律・基準

  • 障害者総合支援法
  • 介護保険法(対象者によって関係)
  • 個人情報保護法
  • 労働関係法規(労基法・安衛法等)
  • 虐待防止法・障害者差別解消法

3.守らなかった場合には

  • 利用者の権利侵害 → 苦情や事故、虐待として通報
  • 行政処分(指導・改善命令、報酬返還、指定取消)
  • 事業所や職員の信用失墜、最悪の場合は刑事責任
  • 報酬請求関連規定(不正請求防止)

職員に求められる姿勢

「法律だから仕方なく守る」ではなく、利用者の安心・信頼を守る行動であると理解し、不安や迷いがあれば 上司や管理者に相談しましょう。
法令遵守は「自分を守ること」にもつながります。

障害福祉サービスとBCP

障害福祉サービスは、利用者、家族等の生活を支える上で欠かせないものです。新型コロナウイルス感染症の流行が続く中、障害福祉サービス事業者においては、流行時のさまざまな制限下であっても適切な対応を行い、その後も利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築することが必須です。

感染症の流行に備え、障害福祉サービスの業務継続のために平時から準備・検討しておくべきことや、発生時の対応などをまとめたBCP(業務継続計画)の作成が重要です。

接遇マナー・コミュニケション

特にコミュニケーションの中での感情コントロールが難しいのが怒りの感情である「アンガーマネジメント」を用いた研修です。

アンガーマネジメントとは

1970年代にアメリカで生まれた「怒りの感情と上手につき合う心理トレーニング」のことです。上手につき合うとは?感情を押さえたり、怒らないようにするものではありません。でもそれは、「怒る必要のあるときに」「適切な方法で」「後悔しないように怒る」ための技術です。」

福祉の現場では、利用者やご家族、同僚との関わりの中で、思い通りにならず感情が高ぶる場面も少なくありません。そこで大切なのは「怒らないこと」ではなく「怒りに振り回されないこと」です。

  1. 怒りのメカニズムを理解する
  2. 怒りが高ぶったときの対処法を学ぶ(6秒ルール、呼吸法など)
  3. 怒りをため込まない工夫(考え方の整理、伝え方の工夫)

これらを通じて、職員自身がストレスを軽減し、より良い人間関係や安心できるサービス提供につなげることを目的とします。

「6秒の過ごし方」(6秒ルールとは)

怒りの感情は脳科学的にみると、強くピークに達するのは約6秒間と言われています。その6秒をやり過ごすことで、衝動的な言動を防ぎ、冷静さを取り戻すことができます。

具体的な方法としては、

  • 深呼吸をする
  • 数をゆっくり数える
  • その場から少し離れる

アンガーマネジメントは「自分を守る」「相手を守る」両方につながる実践的なスキルです。

個人情報保護

これまでも、介護福祉事業所などでの個人情報の取り扱いについて注意事項の基本的な考え方について資料配布をしてきましたが、今回は事例から「個人情報」について学びます。

障がい者グループホームで働く私たちは、利用者の方の生活や健康に関わる多くの大切な情報を扱っています。これらの情報は「個人情報」と呼ばれ、法律(個人情報保護法)や障害福祉サービスの基準で厳格に守ることが求められています。

個人情報保護の目的は、利用者の 人権と尊厳を守ることです。名前・住所・電話番号だけでなく、障がいの状況や医療・介護の記録、日常生活に関する内容もすべて個人情報にあたります。

日常業務の注意点

日常業務では、次の点を特に意識してください。

  • 利用者やご家族の情報を、業務以外で口外しない
  • 書類や記録はきちんと保管し、不要になったものは適切に処分する
  • パソコンやスマートフォンのパスワード管理を徹底する
  • 写真やSNS投稿などで利用者の情報が外部に漏れないよう注意する
  • 不安やミスがあればすぐに上司に報告する

個人情報を守ることは「信頼を守ること」であり、私たちが安心してサービスを提供し続けるための基本です。今日の研修を通じて、改めて一人ひとりが責任を持って行動できるようにしましょう。

虐待防止・身体的拘束等の適正化

障害者虐待の防止について学ぶ

1、障害者虐待防止法の成立

障害者への虐待は尊厳を害し、自立や社会参加を妨げるため、平成23年に「障害者虐待防止法」が成立し、平成24年から施行。国や自治体に虐待防止、早期発見、保護、養護者支援の責務を定め、すべての国民に通報義務があるとしました。

各市町村には虐待防止センターが設置され、調査・救済に当たる体制が整備された。

2、法律の意義

1990年代以降、施設等での虐待事件が社会問題化。
障害者の権利擁護の観点から法制化された。障害者本人や家族が声を上げられなかった現状を変え、虐待が「許されない行為」であることを明確にした。親による虐待も含め、全ての障害者を独立した人格として尊重することを法律で明示。養護者や職員が抱える困難に対応するため、支援も法の柱とされている。

基本姿勢として

  • 利用者の意思決定支援
  • ニーズに基づいた支援
  • 説明責任のある支援(エビデンスに基づく)
  • 合理的配慮の提供が求められる。

虐待防止は事業者・職員の基本的な責務

「利用者の権利を守る砦」であることを自覚し、組織的にPDCAを回して取り組むことが必要。法律遵守と倫理的支援を通じて、利用者の尊厳と安心を守る。

食中毒予防・感染症予防

障害福祉サービス施設においての感染症予防についての研修です。
障害福祉サービスの施設では、コミュニケーションの場でのサービス提供になる場合が多くなりますので特に感染症予防の観点からは、いかに健康管理で感染を広げないかということになります。ここで、施設内で気を付ける点や感染予防について簡潔に学んでいきます。

また、ゾーニングについても学びます。

環境管理:3つの密に配慮する

  • 密閉・密集・密接 を回避し、感染拡大防止を徹底する
  • 定期的な換気を行う(冬場も室温18℃以上・湿度40%以上を維持)
  • 共用部分(手すり・ドアノブ・トイレ等)の清掃・消毒を徹底する
  • 消毒には エタノールまたは次亜塩素酸ナトリウム を正しく使用

健康管理

1、コミュニケーションの確保

感染症で隔離が必要な時も、障がいをお持ちの方は隔離環境に不安を抱えやすいので、コミュニケーションを確保します。

2、職員による丁寧な説明

感染対策(マスク・手洗い等)の協力を、繰り返し説明し理解を促します。

3、障害特性に応じた支援

  • 絵や好みの素材でマスク装着を工夫
  • 装着困難な場合は手洗いや距離確保で対応
  • 化学物質や感覚過敏のある利用者には周囲が配慮して対策

4、毎日の健康観察

  • 検温・チェックシートで普段との違いを早期に発見
  • 無症状や軽症でも感染の可能性を意識する

ポイント

「環境の安全管理」+「利用者に寄り添った感染対策」=重症化リスクを下げる支援

ゾーニングとは

 感染症予防のために施設内を感染リスクに応じて区域(ゾーン)に分け、ご利用者や職員の動線を区分することで、感染拡大を防ぐ対策です。

 主に「レッドゾーン(汚染区域)」「グリーンゾーン(清潔区域)」に分けられます。施設内で感染が起きた時に、このように分け感染拡大を予防します。

接遇マナー

障害福祉施設での支援者としてのマナーとは?

一般的なマナーとしての作法を覚えることも大切ですが、私たちは、介護・福祉サービスの専門家(プロ)として契約に基づいたサービス提供を行うことが求められます

支援者に求められる3つのポイント

1、基本的なマナーを身につける
2、専門性の高い知識・質の高い支援・介護技術を身につける
3、ご利用者やご家族、職員との信頼関係を築く

接客と接遇の違い

接 客
お客様に対応すること。不快にさせないよう最低限のマナーをもって対応する

接 遇
接客に加え「おもてなし」を意識し、一人ひとりに合わせたサービスを提供すること。相手の要望をくみ取り、気配りを込めた対応。

福祉・介護現場で「接遇」を使う理由

福祉・介護サービスは、利用者ごとに作成されたサービス計画に基づき提供されます計画には利用者の希望や身体状況が反映されており、個別性を重視したサービスが求められます。そのため単なる「接客」ではなく、利用者一人ひとりに寄り添った「接遇」という姿勢が重要です。

私どもJALAでは、日々の研修を通じて職員一人ひとりの意識と技術を高め、ご利用者様が安心して生活できる環境づくりに努めています。「学び続けること」が、介護施設のご利用者様と障がい者グループホームの利用者様の状況は異なりますが、利用者様を理解し、尊厳と笑顔を守り、信頼される施設づくりにつながると考えています。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。