【お役立ち情報】「スタッフの質・人材育成」・介護職員の月別研修②

「人材育成」・介護施設での月別研修②

 (株)日本アメニティライフ協会(以下「JALA」)では、安心してご利用者様に施設での生活を送っていただけるために、職員の育成にも力を入れております。
各施設において、下記の内容に沿って研修を行っております。

研修プログラム

研修②

10月 認知症ケア 
 11月 食中毒予防・感染症業務継続計画(BCP) 
 12月 緊急時・事故発生対応(再発防止)
 1月 虐待防止、身体的拘束等の適正化
 2月 介護予防/介護進行予防
 3月 緊急時対応

認知症ケア

認知症の方への理解を深め、症状に応じた適切なケアや対応方法を学びます。

認知症の方の尊厳を守り、安心して生活いただけるようにするための「声かけ」「環境づくり」「コミュニケーションの工夫」など、実践的な内容に取り組みます。

1.認知症の基礎理解

  • 認知症の種類(アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性など)の特徴

  • 中核症状(記憶障害、見当識障害、理解・判断力の低下 など)と周辺症状(不安、徘徊、幻覚、抑うつなど)の理解
  • 認知症の方の気持ちを想像する大切さ

2.尊厳を守るケアの基本姿勢

  • 「できないこと」よりも「できること」に注目する
  • 否定せずに受け止める対応
  • プライバシーへの配慮と人としての尊重

3.具体的なケア方法

  • 声かけの工夫:短く、優しく、安心できる言葉で伝える
  • 環境づくり:見やすいサイン表示、転倒予防の工夫、落ち着ける空間
  • コミュニケーションの工夫:表情や身振りを活かす、話を遮らず傾聴する
  • 行動・心理症状(BPSD)への対応:不安・興奮・拒否行動が見られたときの対応事例

4.事例検討

  • 実際にあったケースを取り上げ、どのように対応すればよいかを考える
  • 「その行動の背景にある思い」を想像する演習

5.まとめ・振り返り

  • 学んだことを現場でどう活かすかを各自が整理
  • チームで共有し、ケアの質を高めるための実践につなげる

食中毒予防・感染症業務継続計画(BCP)

食中毒や感染症の発生を未然に防ぐための知識と対策を学びます。

さらに、感染症流行時でも介護サービスを継続できるように、業務継続計画(BCP)の考え方や手順を確認し、非常時に備えます。

1. 研修目的

  • 食中毒・感染症の基礎知識、高齢者が重症化しやすい代表的な疾患(ノロウイルス、O157、インフルエンザ、新型コロナなど)を学ぶ
  • 利用者の安全を最優先に、感染症や食中毒を未然に防ぐ発生要因を学ぶ

  • 発生時にも介護サービスを途絶えさせないための仕組み(BCP)を理解する

2.日常での予防行動(確認と演習)

衛生管理チェック

食材の受け入れ → 保管 → 調理 → 配膳までのポイント確認

手洗い手順実習や感染症流行期の予防策を学ぶ

ロールプレイ演習

職員役と利用者役に分かれ、声かけや対応の仕方を実践

3.BCP訓練

実際の緊急事態を想定して行う。

  • ケース1 食中毒が疑われる

利用者が嘔吐したときの初期対応(吐物処理の手順・感染拡大防止)
保健所・医師・家族への報告フロー確認
他の利用者への影響を最小限にする動線確保

  • ケース2 感染症が流行した場合

フロアで複数名が発熱 → 隔離・ゾーニングの方法を実践
最小限の人員配置でサービスを継続するシフトの組み替え訓練
職員が感染した場合の代替人員確保(外部応援依頼の手順)

  • ケース3 物資不足の想定

マスクや消毒液が不足した場合の優先使用ルール
備蓄品の確認・点検

4.振り返りと共有

各ケースで「良かった点」「改善点」をグループごとに発表
実際の現場でどう活かすかを全体で確認

5.まとめ

食中毒や感染症を予防するためには以下のことを心がける

  • 「予防の徹底」
  • 「異常の早期発見と報告」
  • 「介護を途切れさせないための備えを行う」

緊急時対応

≪心肺蘇生法・気道異物除去の手順≫

研修目的

  • ご利用者の急変時に、速やかに命を守る行動ができるようにする。
  • 心肺蘇生法・気道異物除去の正しい手順を身につける。
  • 緊急時の連絡体制(AED設置場所・報告ルート)を全職員が共有する。

研修内容

① 心肺蘇生法(CPR)の実習

意識と呼吸の確認・119番通報とAEDの手配(同時進行で指示)・胸骨圧迫の方法人工呼吸の実施・AED使用の流れを学ぶ

② 気道異物除去の手順

背部叩打法 → 腹部突き上げ法(ハイムリック法)意識がない→ただちにCPRへ移行

③ AEDの設置場所の確認

全職員が AEDの設置場所を把握しているかを確認し、実際にAEDを取りに行く

④ 緊急連絡手順の確認

第一報から医師・救急隊・家族への連絡フロー確認

⑤ 第一通報者以降の報告体制

施設長等に連絡がつかない場合「次の連絡者」に連絡が必ず届くマニュアル化

【AEDを使った救命の手順】

3.研修方法

実技研修やロールプレイ形式(通報・AED取り出し・報告連携)を行う

4.まとめ

急変時は 「確認 → 通報 → 応急処置 → 連絡体制」 を全員が連携して実施することが大切。全職員が共通理解を持つことで、利用者の命と安全を守ることができる。

普段からやっておくべきつの準備

■緊急時に落ち着いて対応できるよう、日常から次の点を意識しましょう。

  1. 研修・トレーニング参加

    救命処置(心肺蘇生法・異物除去など)を定期的に学び、スキルを維持する。

  2. マニュアル確認

    施設の緊急時手順を把握し、慌てず行動できるようにしておく。

  3. シミュレーション訓練

    職員で役割を分担し、実際の状況を想定した訓練を行う。

  4. ストレス管理

    冷静に行動できるよう手順を掲示するなど落ち着いて対応できる工夫をしておく。

  5. 医療職との連携

    施設内外の医療職との相談・支援体制を確認しておく。

  6. 最新情報の収集

    介護・医療の最新知識を取り入れ、対応力を高める。

※この6つを習慣化することで緊急時にも自信をもって行動できる体制が整います。

緊急時対応・事故発生対応(再発予防)

① 緊急時の初期対応

状態確認 意識・呼吸・脈の有無を迅速に確認する。
安全の確保 周囲の危険物の除去や、他利用者の安全確保も行う。
応急処置 心肺蘇生法(CPR)、気道異物除去、止血、体位変換など、状況に応じて適切な処置を実施。
通報・機器使用 119番通報を迅速に行い、必要に応じてAEDを使用する。

② 事故発生時の報告・連絡

第一通報者の行動 誰に最初に報告するのか(管理者・施設長)、連絡がつかない場合の代替ルートを確認。
報告内容の整理 事故状況、利用者の状態、実施した応急処置を正確に伝える。
事後管理 事故報告書の作成、経過観察、家族への報告などを確実に行う。

③ 事故の原因分析と再発防止策

原因の整理 利用者要因(身体状況・認知機能・行動特性)
  環境要因(段差、滑りやすい床、照明不足など)
  職員要因(判断や確認不足、対応の遅れなど)
解決策の検討

環境整備(手すり設置、床材改善、照明強化など)職員研修・注意喚起、マニュアル・手順書の見直し

共有と確認 再発防止策は全職員へ周知し、定期的なリスクマネジメント会議で振り返る。

④ ケーススタディ・演習

実際の事故事例や想定シナリオをもとにグループ討議。

対応手順の確認 初期対応 → 報告 → 記録 → 再発防止策の提案。
ロールプレイ 緊急通報、職員間の連携、家族への報告を実際に体験し、実務に活かす。

⑤ まとめ

緊急時の基本行動フロー 「安全確保 → 応急処置 → 連絡・報告 → 再発防止」
重要な視点 緊急時には冷静さと迅速な判断が不可欠。
  事故後は原因分析に基づいた改善を行い、同じ事故を繰り返さない仕組みづくりが必要。
日常からの備え マニュアルや対応手順の定期的な確認し繰り返しの訓練によって実際の場面で落ち着いて行動できる力を養う。

事故対応を適切な事故対応のための学びではなく、なぜ起きたのかを職員全体で振り返り、再発を防ぐための取り組みにつなげるようにすることが研修の大きな狙いです

介護予防/介護進行予防

① 介護予防の基礎知識

介護予防の目的:要介護状態の発生や重度化を防ぎ、できる限り自立した生活を維持する

主な予防の柱

  • 運動機能の維持・改善
  • 栄養状態の確保
  • 口腔機能の維持
  • 社会参加・交流
  • 認知機能の低下予防

② 認知症予防と進行予防

  • 認知症のリスク因子(生活習慣病、社会的孤立、運動不足など)
  • 認知症の早期発見のサイン(もの忘れ、生活の変化、感情の起伏)
  • 認知症の進行予防ケア
  • 本人の尊厳を守る関わり方
  • 習慣化された行動・役割の継続
  • 家族や地域とのつながりを意識した支援

③ コグニサイズの実践(認知機能 × 運動)

 例 

  • 足踏みしながらしりとりをする
  • ボールを投げながら計算問題を答える
  • 軽い体操と声出しを組み合わせる

 効果 

運動機能・認知機能の両方を刺激し、脳の活性化につながる

④ 生活習慣と介護予防

  • バランスの取れた食事と水分摂取
  • 睡眠習慣の改善
  • 感染症予防・フレイル予防
  • 禁煙・節度ある飲酒

⑤ 介護職員の支援方法

  • 利用者の「むりなく続けられること」を活かす視点
  • 自立支援型ケア(見守る姿勢とご本人の力を引き出す)
  • 家族・地域と連携した予防活動の推進
  • レクリエーションやグループ活動を通じた社会参加の場づくり

⑥ 演習・実技

  • コグニサイズの実践体験(5分〜10分の簡易プログラム)
  • 事例検討:「転倒予防」「認知症予防」「フレイル予防」をテーマに行う
  • 利用者に合った予防プラン作成のワーク

JALAでは、こうした月別研修を通じて、職員一人ひとりが専門性を高め、安心と安全を届けられる体制づくりに力を注いでいます。

認知症ケア、感染症予防、緊急対応、介護予防など、日々の現場で直結する研修を積み重ねることで、ご利用者様の生活の質を守り、より豊かな毎日につなげてまいります。
これからも「人材育成」を柱に、職員が自信をもって支援にあたり、ご利用者様とそのご家族に選ばれる施設であり続けられるよう取り組んでまいります。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。