さあ、見学を始めよう! 「まず、介護施設の見学をするための準備」~まずは話し合いから~

さあ、見学を始めよう!

「まず、介護施設の見学をするための準備」~まずは話し合いから~

介護施設の見学をするための準備

考え始めるきっかけ

介護施設の見学は、何かのきっかけがあって考え始める方がほとんどです。

  • 将来のことを考えて早めに検討したい
  • ご本人の体調や認知機能に変化が出てきた
  • 家族の介護の負担が少しずつ大きくなってきた

こうした変化から、施設の検討が始まります。

はじめて検討する方からは、「何から始めればよいのかわからない」という声もよく聞かれます。

多くの方はまず情報収集を考え、ケアマネジャーに相談することで、施設の種類や今後の選択肢についてアドバイスや紹介を受けることもできます。

もちろんそれらも大切ですが、まず必要なのは「話し合い」です。

その際には 「ご本人の意向」 をしっかり確認しておきましょう。

家族だけで話し合うと、入居の段階で

「そんな話は聞いていない」
「まだ家にいたい」

といった思いの行き違いが生じることがあります。

こうしたトラブルを避けるためにも、見学を始める前に家族と本人の気持ちを整理し、話し合っておくと安心です。

どのような点を確認するか

では、話し合いではどのようなことを確認しておくとよいのでしょうか。

◎ まず大切なのは、ご本人がどのような生活を望んでいるのかということです。

本人はどのような生活を望んでいるのか

  • できるだけ自宅で生活を続けたい
  • 家族に迷惑をかけたくないので施設も考えたい
  • 人と交流できる環境がよい
  • 静かな環境でゆっくり暮らしたい

希望は人によってさまざまです。

うまく聞き出せないときは、日常会話の中で聞いてみるとよいでしょう。

  • 「もし、違うところに住むとしたらどんなところがいい?」
  • 「住んでみたい場所はある?」
  • 「もう、この年だから、家族に迷惑を掛けたくないから施設でもいいわね」
  • 「広くなくてもいいから、ひとりでのんびりできる部屋がいいわね」

このように、「介護施設」や「介護」という言葉を使わなくても、自然に本音を引き出すことができます。その言葉をもとに、施設選びを考えていくとよいでしょう。

◎ 次に確認しておきたいのが、現在の介護の状況です。

ここでは、ご本人の介護の状態だけでなく、介護を担う家族の状況も考えましょう。

現在の介護の状況を整理する

  • 家族がどの程度介護をしているのか
  • 夜間の対応が必要になってきているのか
  • 転倒などの危険が増えているのか
  • 家族の仕事との両立が難しくなってきているのか

夜間の介護では、家族が付き添うこともあります。その負担が、生活や仕事に影響していないか注意が必要です。

一方、ご本人と離れて暮らすと、一人暮らしが心配で訪問の回数が増え、介護する家族に負担がかかることもあります。

そのときは「親のことだから我慢しなければ」ではなく、介護する側の生活が無理なく続けられるかどうかを考えてみましょう。

介護の負担が少しずつ増えていくことことで、気づいたときには家族が大きな疲労を抱えていることもあります。

◎ 施設を検討する理由も家庭によって違います。

施設を選ぶ際には、医療や介護の体制に加え、その人らしい生活が続けられるかという点にも目を向けてみましょう。

③ 施設を検討する目的をはっきりさせる

  • 認知症が進み一人暮らしが難しくなってきた
  • 家族の介護負担が大きくなってきた
  • 医療面での見守りが必要になってきた
  • 安全して生活できる環境を整えたい

このように、施設を検討する目的を整理することで、どのような施設が合っているのかが見えてきます。

施設種類 説明
認知症グループホーム
(認知症対応型共同生活介護)
認知症の高齢者が慣れ親しんだ地域で穏やかに暮らせる施設です。
住宅型有料老人ホーム ご高齢者への住宅提供を目的とした施設で、低価格で利用しやすく、デイサービスも併設しています。
介護付有料老人ホーム 要介護高齢者が食事・入浴・排泄などの介護や日常生活支援を受けながら安心して暮らせる施設です。
医療特化型施設 医療やリハビリが必要な方が、24時間看護体制の整った施設で安心して暮らせる施設です。

※株式会社日本アメニティライフの施設の場合は、このような内容になっています。

それぞれの施設には特徴があるため、目的に合わせて選んでいくことが大切です。

◎ 施設選びでは、費用の問題も重要です。

④ 費用について考えておく

  • 入居時の費用
  • 月額費用
  • 医療費やオプション費用

施設によって費用は大きく異なります。

「入居金0円」となっていても、ほかにかかる費用がないか確認しておきましょう。
入居一時金や敷金など、表記が異なることもあるため、相談の際に内容を確認すると安心です。

無理のない範囲で支払える費用の目安を家族で話し合っておくと、見学する施設を絞りやすくなります。

◎ 兄弟姉妹が離れて暮らしている場合を考えてみましょう。

いずれの場合も、家族の負担や現実的な対応を踏まえて考える必要があります。

⑤ 家族でどんな話し合いが必要?(入居前)

【遠方に住んでいる家族がいる場合】

  • どちらかの家族の近くにする
  • 面会や対応のしやすさを優先する

【それぞれが比較的近い距離にいる場合】

  • 中間地点の施設を選ぶか
  • それぞれが無理なく関われる場所にするか

◎ 施設に入居した後のことも考えておくことが重要です。

⑥ 家族でどんな話し合いが必要?(入居後)

  • 入居後の様子をどのように伝え合うか
  • 誰が施設との主な連絡役になるか

こうした点も事前に決めておくと安心です。

施設選びで大切な視点

介護施設を検討する際は、まず家族それぞれがどのように考えているかを整理することが大切です。家族であっても、住んでいる場所や生活環境、これまでの関わり方によって、考え方が違うのは自然なことです。

意見がぶつかることもあります。お互いの意見を出し合いながら、『落としどころ(妥協点)』を探っていきましょう。

介護施設の検討は、どの施設にするかだけでなく、家族全体でどのように支えていくかを考える機会でもあります。

施設見学の前に話し合いの場を持ち、お互いの考えを理解しながら方向性をそろえておくと、入居の話もスムーズにまとまりやすくなります。

実録-そろそろ考えなきゃいけない?と思うのは、私だけ?

「そろそろ施設も考えたほうがいいのかもしれない」そう思ったきっかけは、ほんの小さな出来事でした。

70代後半の父親が一人で暮らしているAさんご家族。ある日、近くに住む長女が実家を訪ねると、冷蔵庫の中には同じ総菜がいくつも入っており、部屋も少し散らかっていました。

話をしていると、ついさっき聞いたことを忘れてしまう場面も増えてきていました。それまでは「まだ大丈夫」と思っていた長女でしたが、帰り道にふと不安がよぎります。

「このまま一人で生活を続けて、本当に大丈夫なのだろうか」
そこで長女は、離れて暮らす兄と妹に連絡を取り、家族で話し合いの場を持つことにしました。久しぶりに顔を合わせた兄弟姉妹でしたが、最初から意見は一致しませんでした。

長男は「まだ施設に入る段階ではないのではないか」と言い、次女も「できるだけ家で過ごさせてあげたい」と話します。

一方で、日常的に関わっている長女は違いました。

「最近はガスの消し忘れもあったし、転倒も心配。正直、今のままでは不安が大きい」と、実際の様子を具体的に伝えました。

最初はなかなかかみ合わなかった話し合いも、長女が日々の状況を丁寧に説明することで、少しずつ理解が深まっていきました。

さらに、父親本人にも気持ちを聞いてみると、「迷惑をかけるくらいなら、そういうところも考えないといけないな」と、どこか遠慮がちな言葉が返ってきました。

その一言をきっかけに、家族の中での考え方が変わっていきます。

「すぐに入居を決めるのではなく、まずは施設を見てみよう。その為に資料を請求して、見学する施設をきめようね。」

そうして、全員が納得できる形で“見学から始める”という方向にまとまりました。

役割分担

見学は主に長女が動く

長男と次女は日程が合えば同行する

難しいときは情報を共有する

また、この話し合いの中で、
『見学は主に長女が動くこと』
『長男と次女は日程が合えば同行すること』
『難しいときは情報を共有すること』
といった役割分担も自然と決まりました。

このご家庭のように、事前に話し合いをしておくことで、「なぜ施設を検討するのか」「どのような方向で進めるのか」が明確になります。

もしこの話し合いをせずに長女だけで見学を進めていたら、後から「まだ早いのではないか」「そんな話は聞いていない」といった意見の食い違いが生まれていたかもしれません。

介護施設の見学は、ただ施設を探すためのものではありません。
それは、家族がこれからの生活をどう支えていくかを考える一歩です。

見学の前に一度立ち止まり、家族で話し合うこと。その時間が、後悔しない選択につながっていきます。

さあ、次は実際に見学の準備をはじめていきましょう。資料の収集ははじめていますか?

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。