【お役立ち情報】もっと超高齢社会を考えよう 「ご存じですか?都会の限界集落化②」実録~実際に動いている地域の方々の声~

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「ご存じですか?都会の限界集落化②」実録~実際に動いている地域の方々の声~

実録~実際に動いている地域の方々の声~

私も介護歴17年の経験の持ち主です。やはり気になるのが、高齢化が進む地域では、どのように生活をされているか、介護が必要になった時にどのようなサービスの利用をしているのかということです。

我が街は、昔は子どもたちがあふれ、幼稚園バスが渋滞するほどの街でしたが、いま朝に見かける風景はデイサービスの送迎車の渋滞の様子です。

高層団地といっても、どの階でも数段の階段を上らなければ部屋にたどり着けない構造のため、車いすになった方はどのように生活しているのか気になりました。階段は細く、横並びに二人では登ることもできません。 

住み始める前から、大柄だった父がもし車いすになったらどうなるのだろうと、両親が元気なころから考えたものでした。

以前、介護ヘルパーの資格を取得した際の実習で、とある団地の利用者様の送迎に同行し、二人で車いすに乗った利用者様を持ち上げたことがありました。その光景が脳裏に残っており、「この団地ではどうするのだろう」と思ったものです。

ある日、母の利用していたケアプラザの職員さんが送迎に来ていてお話をする機会がありました。そこで、このような集合住宅に住まれている方の介護について聞いてみました。

この団地の方の送迎ってどうしていますか?

思わず、ケアプラザの職員さんに声を掛けたところ、快く答えてくださいました。

「こちらの団地は、数段階段はありますが、まだエレベーターがあるだけ助かります。今のところ、デイサービスに来られる方はほとんどが杖歩行の方なので、転倒だけは気を付けていますね。」

「この団地の階段は狭いので、移動や介助は大変ではないですか?」と尋ねると、
「そうですね。でも狭いからこそ、転ばないんですよ。よろけても、すぐに掴める場所がありますから、大きな事故に繋がりにくいんです。ドアを開ければ、すぐ玄関ですからね。家族さんの中には、玄関に椅子を用意し、あらかじめ座って待っていてくださるお宅もあります。」

「実際車いすになった時にはどうされていますか?」

「移動式の昇降機を送迎車に載せているので、この昇降機で上がってもらいます。やっぱり車いすになると持ち上げるには男性の職員でも大変ですから。」

「私も介護職なので、以前、車いすの方を二人で持ち上げて細い階段を上がったことがあります。その経験があるので、ここの団地の送迎の方は大変だと思っていました。」

「昔ね、そうそう、そういう時期がありましたよね。昔は一日に一人くらいならと、その形で行っていましたが、今は車いすの方の利用もかなり増えましたし、エレベーターのない集合住宅からの利用も増えているんですよ。ですからたいていのデイサービスやショートステイの送迎車にはこの昇降機を載せています。」

「さすがに部屋の中で車いす移動になってしまう方は、施設入居を勧めていますね。部屋の通路自体が狭いですから、リフォームしてもそこは変えられないので、絶対に不自由が出てきてしまいますから。」

「あとは認知症の方ですね。この地域は広いですから、外に出てしまったら危険がいっぱいです。大きな通りはバスが通っているし、車の出入りも多いので。事故にあう前に入居を勧めていることが多いです。」

「それと、家族さんから『何かあってもすぐに駆けつけられないから、施設を探してほしい』と言われることも増えてきていますね。」

確かにここ数年、以前お見かけした方を見かけなくなった気がしていたのは、介護サービスの利用が増え、施設に住み替えている方も増えているからなのだと納得しました。

「大丈夫ですか?私に掴まってください」と声を掛けた日のこと

私が住んでいる地域は、緩やかな坂道を上がった小高い丘の上にあります。

日々の通勤では、この坂道が運動不足の私にはちょうどよいのですが、年齢を重ねるごとに足腰に負担がかかる坂道でもあります。高齢化の進むこの地域では、『登れること=住める条件』になってしまっています。

この団地が出来たころに住み始めた方は、今の状況を想像したでしょうか?この小高い立地も、「景色がよくていいな」と坂道も気にならず歩いていたことでしょう。

ある日私がこの坂道を下っていた時のことです。女性のお年寄りが、靴を何度も気にしながらその場から動かずにいるのです。でもよく見ると足を引きずり、数センチ単位で動いているのです。

「道が分からないのかな?」「足を触っているので足が痛いのかな?」と私は足を止めました。どうやら靴を気にしているようです。思わず駆け寄り「大丈夫ですか」と声を掛けましたが、そのまま前に進もうとします。

足元を見ると、片足だけ靴がしっかりと履けていない状態でした。このまま歩いていたら危ないと思い、私はしゃがんで「私の肩につかまってください」と伝え、靴を履き直していただきました。

「転んでしまったら大変ですから」と伝えると「子どもにはこんなことくらいなんで出来ないの?と言われるんです。あの白い車までならと思って。ありがとうあなた、やさしいね」そう女性に言われた時に何だか胸がきゅっとしました。

介護の現場ではよくある光景で、見つけたら転倒しないように必ず声を掛けます。

ご家族はただ「出来ないことにきづかなかった」のでしょう。
「親が靴を履けない状態を見ていない」もしくは「この距離だから大丈夫」という思いなのでしょう。

むかし元気な親も、年を取ればできなくなることも出てくる。自分の親にはなかなか結び付けられないことなのですね。

地域を支える民生委員という存在 ― 早めの相談が安心につながります

民生委員とはどんな人?

民生委員は、地域で暮らす人が「困ったな」「どうしたらいいのだろう」と感じたときに、相談にのり、必要な支援や相談先につなぐ役割を持つ人です。厚生労働大臣から委嘱されていますが、給料の出ないボランティアとして活動しています。

民生委員の仕事は、問題を自分で解決することではありません。高齢の方や一人暮らしの方、子育て中の家庭などから話を聞き、その人に合った支援や窓口を一緒に考え、紹介することが主な役割です。

そのため、民生委員には強い権限があるわけではなく、介護や家事を手伝ったり、すべての困りごとを引き受けたりする立場ではありません。「困ったときに話を聞いてくれて、必要なところにつないでくれる身近な相談相手」と考えると分かりやすいでしょう。

民生委員は、地域で安心して暮らし続けるための『つなぎ役』です。民生委員だけに頼りきるのではなく、家族や地域、行政がそれぞれ支え合うことが、これからの社会では大切になっています。

高齢化が進むこの地域で困ったことなど

最近は、独居の方も増え、介護が必要になったり、施設を探したいという方が多くなってきたことがきっかけとなり、地域の民生委員の方とお話しする機会がありました。

民生委員は、地域の方が困ったときに相談窓口などへ話をつなぐ『つなぎ役』です。そのため、地域にある『困り事』をたくさんご存じです。

高齢化が進むこの地域で困ったことなどを聞いてみました。

  • 独居の方の身寄りの方への連絡が取れないこと
  • 介護が必要な状況にもかかわらず、サービスを受けない方
  • 認知症の方、寝たきりの方の安否確認
  • 身近に起きている『ごみ屋敷』等の問題が増えているとの事

この中で最も困っているのが、身寄りに連絡がつかないことだといいます。悲しいことに、連絡が取れても「もう親とは関係ない」「すぐに来てほしいと言われても困る」という返答が多いとのことでした。

また、連絡をすると「民生委員でしょ、そういうことのためにいるんでしょ」と役割を理解してもらえないこともあります。

地域の方の中には、何か困ったら『民生委員』という考えがあり、相談の連絡がかなり多く寄せられているとのことでした。相談する相手がいないのか、あるいは誰に相談したらよいのか分からないのではないか、とおっしゃっていました。

地域の方々が高齢になるということは、民生委員を引き受けている方もまた高齢化しているということでもあります。

「私たちも、もう介護を受ける側の年齢になります。でもこの地域ではまだ若い方のなり手がいないのが現状です。実際に相談は聞くけれど、私たち民生委員は判断をしてはいけないのです。担当者に繋ぐ事しかできないのです。

「高齢者の多い地域ですので、連絡が着かなければ、すぐにお家に伺います。無事であればいいのですが、鍵がかかり、インターホンを何度鳴らしても返事がない時には、ご家族に連絡をします。連絡が着かないときには、場合によっては救急要請をすることもあります。時には残念ながらという事もあります。」

外に出られる方や、何かの活動をしている方は、「最近見ないわね」と周りの方が気に掛けてくれますが、周囲と距離のある方は、誰にも気付かれずに最期を迎えていることが多いのです。

せめて家族の方が定期的に連絡をしてくれ、尋ねるのが無理なら、地域に連絡をして安否を確認してほしいと思います。」と説におっしゃっていました。

最近どのような問題が増えているか聞いてみました。

  • ケアマネに相談したいが、どこも手いっぱいでケアマネが見つからない。
  • 身元保証人がいないので施設に入居できない。家族が関与したがらない。
  • 認知症の方の対応も難しいです。本人もご家族も自覚がないケース、認めないケースは意見が伝わらなく、仲裁が必要になるがなり手がいない。

主に助け手の不足が一番深刻です。「結局は人を救うのは人なのです」と民生委員の方は声を大にしておっしゃっていました。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。