【お役立ち情報】「冬の感染症対策」

寒い冬に備えて気を付けよう

冬の感染症対策

冬に感染症が増える理由と、冬に多い感染症や高齢者が気を付けたいポイントです。

冬の感染症対策

冬は、風邪やインフルエンザなどの感染症が特に増える季節です。

寒さや乾燥といった冬特有の環境は、ウイルスが広がりやすく、体の抵抗力も低下しやすくなります。とくに高齢者では、症状が分かりにくかったり、重症化しやすかったりするため注意が必要です。

ここでは、なぜ冬に感染症が増えるのか、冬に多い主な感染症、そして高齢者が気を付けたいポイントについて、分かりやすく説明します。

なぜ冬に感染症が増えるのか

冬は次の条件が重なり、感染症が広がりやすくなります。

  • 空気が乾燥し、ウイルスが長く生き残る
  • 寒さで免疫力が低下しやすい
  • 窓を閉めがちで換気不足になる
  • 室内で人との距離が近くなる

特に高齢者は、症状が出にくく重症化しやすいため注意が必要です。

冬に多い主な感染症「感染症を知ろう」

インフルエンザ

毎年冬に流行する代表的な感染症です。発熱、倦怠感、関節痛などがみられますが、高齢者では高熱が出ず、元気がなくなるだけの場合もあります。肺炎や持病の悪化につながることがあります。

新型コロナウイルス感染症

冬は感染が拡大しやすく、発熱や咳が目立たないこともあります。食欲低下や強い疲労感だけが現れる場合もあり、高齢者では重症化のリスクがあります。

インフルエンザ・コロナ・風邪の違い

項目 インフルエンザ    新型コロナ 風邪
原因 インフルエンザウイルス 新型コロナウイルス 多くの種類のウイルス
発症 急に 比較的ゆっくり〜急       ゆっくり
発熱 38℃以上の高熱が多い 発熱あり(高熱〜微熱) 微熱〜なし
だるさ  非常に強い 強いことがある   軽い
頭痛・関節痛 強く出やすい 出ることがある あまり出ない
のど・鼻  後から出ることが多い のど痛・鼻水・咳が出やすい 初期から出やすい
 あり あり・長引きやすい         軽い
味・におい ほぼなし 低下・消失することがある ほぼなし
重症化  高齢者でしやすい 高齢者・基礎疾患で注意 まれ

※ 高齢者での注意点(共通)

  • 高熱が出ないことがある
  • 「元気がない」「食欲がない」「動かない」だけの場合も
  • 肺炎や持病の悪化につながることがある

⇒自己判断せず、早めの受診や相談が大切です。

見分けるヒント(目安)

  • 急な高熱と強いだるさ → インフルエンザ疑い
  • 咳が長引く、味やにおいの変化 → コロナ疑い
  • 鼻水・のど痛が中心で軽い → 風邪の可能性

※症状だけでは区別が難しいため、検査での確認が重要です。

肺炎(誤嚥性肺炎)

冬は風邪や体力低下により、誤嚥性肺炎が起こりやすくなります。

咳や発熱が目立たず、食欲低下や元気消失だけで進行することもあります。高齢者の命に関わる重要な感染症です。ほかの感染症にかかった予後として発症する場合が多いです。

RSウイルス感染症(Respiratory Syncytial Virus)

RSウイルス感染症は、呼吸器に感染するウイルス性の感染症で、秋から冬にかけて流行します。乳幼児の病気として知られていますが、高齢者や基礎疾患のある方でも重症化することがあるため注意が必要です。

原因と感染経路

原因はRSウイルスです。感染力が強く、次の経路で広がります。

飛沫感染
咳・くしゃみ・会話時のしぶき
接触感染
ウイルスが付いた手指や物(ドアノブ、手すり等)から口・鼻・目へ

※ウイルスは手指や物の表面に一定時間残るため、手洗いと環境消毒が重要です。

主な症状・・・初期は風邪に似た症状から始まります

  • 鼻水・鼻づまり・のどの痛み・咳・発熱(出ないこともある)・だるさ

進行すると、

  • 下気道に炎症が広がり、咳がひどくなる
  • ゼーゼー・ヒューヒューする呼吸
  • 息切れ・息苦しさ

などが見られることがあります。

感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)

感染性胃腸炎は、ウイルスや細菌が原因で起こる胃腸の感染症です。特に冬に多いのがノロウイルスで、毎年、家庭や介護施設、病院などで集団感染が起こりやすいことで知られています。

原因と感染経路

主な原因はノロウイルスですが、ロタウイルスや細菌(サルモネラなど)が原因になることもあります。

感染経路は以下のようなものがあります。

  • 口から感染(汚染された手指、食品、飲み水)
  • 人から人へ(嘔吐物・便を処理した手を介して)
  • 飛び散ったウイルスの吸い込み(嘔吐時に空気中に舞う)

※ノロウイルスは非常に感染力が強く、少量でも感染するため注意が必要です。

主な症状

  • 吐き気・嘔吐・下痢・腹痛・軽い発熱

多くは1~2日で症状がピークとなり、数日で回復しますが、症状の強さには個人差があります。「食欲がない」「ぐったりしている」などの変化も重要なサインです

冬の感染症の治療

治療の基本は、十分な休養と水分補給、解熱剤や咳止めなどの対症療法です。

多くの感染症では、症状を和らげながら体の回復を待つ治療が中心となります。感染性胃腸炎の場合は特効薬がなく、脱水を防ぐために少量ずつこまめに水分をとることが特に大切です。

インフルエンザは、発症から早い時期に抗インフルエンザ薬を使用することで、症状を軽くしたり回復を早めたりすることができます。

一方、新型コロナでは、症状の程度や重症化リスクに応じて治療が選ばれ、軽症の場合は自宅療養が中心となりますが、高齢者や持病のある方では抗ウイルス薬や入院治療が必要になることもあります。

高齢者では、高熱が出ない、だるさや食欲低下だけが目立つなど、症状が分かりにくいことがあります。また、肺炎や脱水、持病の悪化につながりやすいため、「いつもと違う様子」に早く気づくことが大切です。症状が軽く見えても無理をせず、早めに医療機関へ相談することが、冬の感染症を安全に乗り切るポイントです。

感染症の治療時に大切な水分補給と生活のポイント

① 水分補給の基本

  • 発熱・下痢・嘔吐があると脱水になりやすい
  • 少量ずつ、こまめに水分をとる
  • のどが渇く前に飲むことが大切

② どんな飲み物がよいか

  • 経口補水液
  • 水・白湯
  • 薄めたお茶

※甘い飲料やアルコールは控える

③ 飲み方の工夫(特に高齢者)

  • 一度にたくさん飲ませない
  • スプーン1杯、ひと口ずつでもよい
  • むせやすい場合はとろみをつける

④ 食事について

  • 無理に食べなくてよい
  • 食べられるようになってから、消化のよいものを少しずつ
  • 水分補給を優先する

⑤ 体を休めることも治療の一部

  • しっかり睡眠をとる
  • 入浴は体調がよい時に短時間で
  • 室内は暖かく・乾燥しすぎないようにする

感染症の治療では、薬だけでなく、水分補給と休養が回復の土台になります。特に高齢者では、こまめな見守りが大切です。

感染症が悪化するとどうなるのか?

ウイルス系の呼吸疾患

インフルエンザは主に重症化すると、肺炎等を引き起こす危険があります。そのことにより重篤化した際には入院が必要な場合があります。また、脱水なども起きやすく、予後に長引き、筋力の低下などが起き、寝たきりになることもあります。

新型コロナウイルスは、インフルエンザ同様、肺炎・呼吸不全を起こす危険があります。また、新型コロナウイルスの特徴として血栓が出来るリスクがあり、悪化をすると、血栓から起きる脳梗塞、心筋梗塞などの疾患の引き金になることもあります。

そして共通する悪化の状況は、持病がある場合の「持病の悪化」です。特に心臓病、呼吸疾患は悪化すると長引くことがあり持病自体が進行してしまいます。また、せん妄なども起きやすくなり、認知症に似たような症状が出現することもあります。

もちろん、元々認知症を発症している場合は、寝たきりになるなど行動が抑制されることで、認知症の進行が見られることがあります。

感染性胃腸炎

感染性胃腸炎では、下痢や嘔吐と繰り返すことが多く、体の水分や電解質が失われ脱脱水症状を起こしやすくなります。また、食事や水分の摂取が出来なくなることで、悪化をすること持病に糖尿病がある方は、血糖コントローㇽが出来なくなり悪化してしまうこともあります。また心臓病や腎臓病の方も悪化し入院治療が必要になることもあります。

その他、嘔吐の際に嘔吐物が気道に入り、誤嚥性肺炎を引き起こすことがあります。

感染症は早期発見がカギ

 冬の感染症に気づくための高齢者チェックリスト

☑ 冬の感染症に気づくための
高齢者チェックリスト

♦ 体調の変化(本人の訴えがなくても確認)

  • ☐  いつもより元気がない
  • ☐  表情が乏しい/笑顔が少ない
  • ☐  ぼんやりしている時間が増えた
  • ☐  動きたがらない/横になっている
  • ☐  食事量が減った
  • ☐  咳・鼻水・下痢・嘔吐がある
  • ☐ 息が荒い/苦しそう

♦ 行動・様子の変化(重要)

  • ☐  落ち着きがなくなった
  • ☐  急に怒りっぽい(機嫌が悪い)・不安を訴える
  • ☐  夜に起きる回数が増えた
  • ☐  いつもできていることができない
  • ☐  食事量が減った
  • ☐  介護を嫌がる/拒否が強くなった

※これらは体調不良のサインのことがあります

♦  水分・食事の確認

  • ☐  自分から水分を取らない
  • ☐  飲んだ量が少ない
  • ☐  むせ込みがある
  • ☐  食事を忘れている/食べたがらない

♦  水分摂取の工夫ポイント

  • ☐  コップを目につく場所に置く
  • ☐  好きな飲み物を活用する
  • ☐  少量・回数多めで勧める
  • ☐  無理強いせず、落ち着いた声かけ
  • ☐  室温・湿度を快適に保つ

♦  受診・相談の目安(早めに)

  • ☐  水分がほとんど取れない
  • ☐  ぐったりしている
  • ☐  急に混乱が強くなった
  • ☐  呼吸が苦しそう
  • ☐  下痢・嘔吐が続いている

⇒「様子を見る」で済ませず、早めに相談

高齢者の方は症状を感じづらいこともあり、感染しても気づかないこともあります。発見が遅れ、重篤化することがありますので、日頃の様子からの変化に気付けるようにしましょう。

行動や表情の変化こそが、体調不良のサインです。

まずは、感染源を持ち込まないこと!感染拡大防止を心がけましょう

手洗い・換気・体調確認」が予防の基本です。

  • ☐ 手洗い・手指消毒ができている
  • ☐  マスク着用が正しくできている
  • ☐  居室・共有部分の換気を行っている
  • ☐  手すり・ドアノブの清拭を実施している
  • ☐  嘔吐物・排泄物は防護具着用で処理している

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。