【お役立ち情報】年末年始の食事を安全においしく楽しむ方法

寒い冬に備えて気を付けよう

「年末年始の食事を安全においしく楽しむ方法」

年末年始のごちそうは、 噛む力・飲み込む力の低下による誤嚥や食べ過ぎに注意が必要です。

食べ過ぎ・飲み込み事故(誤嚥)への注意

年末年始は、お正月料理やごちそうを食べる機会が増える時期です。

しかし高齢になると、噛む力や飲み込む力、反射機能が徐々に低下するため、普段は問題なく食べられているものでも、思わぬ誤嚥や窒息事故につながることがあります。また食べ過ぎによる、吐き戻しなどにも注意が必要です。

特にお正月料理は、繊維が多いもの、固いもの、のどの張り付きやすいものなど、食感や形状が高齢者にとって負担になりやすいため注意が必要です。

特に注意が必要な食品

 餅 

まず餅は、のどに張り付きやすく、少量でも窒息の危険が高い食品です。噛み切りにくく、飲み込むタイミングがずれやすいため、特にお正月の時期の事故が多く報告されています。

餅はできるだけ小さく切り、餅風ムースや餅を使わない雑煮などの代替食品を活用しましょう。また、一口ずつ、十分に噛んでから飲み込めているかを見守ることが大切です。

数の子・昆布巻き・煮しめ類

数の子・昆布巻き・煮しめ類は、硬さや繊維の多さから噛み切りにくく、口の中でまとまりにくい食品です。

その結果、むせたりするなど、誤嚥を起こしやすくなります。小さく刻んだり、やわらかく煮直したりし、繊維の多い部分は無理に食べさせないようにしましょう。
まとまりが悪く、飲み込みに心配がある場合には、とろみをつけたり、あんをかけたりすると、飲み込みやすくなります。

食物繊維は便秘予防に役立つといわれていますが、摂りすぎは高齢者の方にはよくありません。消化機能が低下している場合、胃腸に負担をかけることもあります。食べる量には気をつけましょう。

雑煮

雑煮の具も注意が必要です。鶏肉や里芋、人参などの具材が大きいと、のどに詰まりやすくなります。さらに、熱さのために急いで飲み込んでしまうこともあります。

具材は一口サイズに切り、熱々のものではなく、少し冷ましてから提供しましょう。汁だけを先に飲ませず、具と一緒に食べるようにすることも大切です。

おせち料理で注意したい食品

黒豆
皮が硬く、むせやすい
田作り・ごまめ
乾燥していて喉に引っかかりやすい
伊達巻・かまぼこ
一見やわらかいが、大きいと詰まりやすい
栗きんとん
甘くて食べやすいが、口いっぱいに入れがち
エビ
弾力が強く、噛み切りにくい

黒豆

田作り・ごまめ

伊達巻

かまぼこ

栗きんとん

エビ

おせち料理の中では、黒豆は皮が硬くむせやすく、田作り・ごまめは乾燥していて喉に引っかかりやすい食品です。

伊達巻やかまぼこは一見やわらかそうですが、大きいままだと詰まりやすくなります。栗きんとんは甘くて食べやすいため、口いっぱいに入れてしまいがちです。一見安全そうに見えますが、材料は主にサツマイモ、栗などで飲み込む際に張り付いたり、詰まりやすい特徴を持っています。また、エビは弾力が強く、噛み切りにくいため注意が必要です。

これらの食品は共通して、一口量を少なくし、見た目よりも「飲み込みやすさ」を優先することが重要です。むせやすい方には、刻み食やソフト食を検討しましょう。現在では、特殊加工で出来ている食材も増えています。安全を優先する場合には、選択肢として用意しておくとよいでしょう。

食べ方・見守りのポイント

食事中は急がせず、「早く食べて」などの声かけは控えましょう。姿勢にも注意し、しっかり椅子に座り、背もたれに寄りかかりすぎないようにします。むせが見られた場合は、無理に食べ続けさせず、一度休憩をとることが大切です。

誤嚥を予防する姿勢

ベッドの場合

食べ過ぎにも注意が必要です

年末年始などは、普段食べられない食材などが多くあり、「せっかくだから」とつい食べる量が多くなりがちですが、食べ過ぎは誤嚥や消化不良、体調不良につながります。

少量ずつ盛り付け、何回かに分けて提供しましょう。繊維物の摂取が多い場合は、腹部が張るなどの不調が現れていないか声かけを工夫し、安心して食事ができる雰囲気づくりを心がけましょう。

◆ここで詳しく再確認!!

本物の餅が危険な理由(高齢者の誤嚥・窒息防止)

◆ 餅は「のどに張り付く」食品です
・加熱すると強い粘りが出ます
・のどの壁に密着し、空気の通り道をふさぎやすくなります
◆ 噛み切りにくく、大きな塊になりやすい
・歯が弱くなると切れずに伸びます
・一口が想定以上に大きくなり、詰まりやすくなります
◆ 飲み込む反射が間に合わないことがあります
・高齢になると飲み込む反射が遅くなります
・タイミングがずれると誤嚥・窒息につながります
◆ 唾液が少ないと、さらに危険です
・口の中が乾燥すると、餅がより張り付きやすくなります
◆ 少量でも命に関わる事故が起こります
・「少しだけ」「小さく切った」場合でも安全ではありません
・毎年、餅による窒息事故が発生しています

※万が一の時の応急処置を知っておきましょう

【出典】

東京消防庁「餅などによる窒息事故に注意!」(東京消防庁公式サイト)
URL:https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/nichijo/mochi.html

[閲覧日:2025年12月17日]

年末年始の料理を楽しむための工夫

「あれもだめ、これもダメ」ではせっかくのお正月の食の楽しみが減ってしまいます。また、ご本人の為を思ってのことがかえってご本人が「楽しめない」のでは新年を迎えるにあたり、めでたく感じません。

ここでちょっと工夫をしたお正月レシピを紹介したいと思います。

ここでちょっと工夫をした
お正月レシピを
紹介したいと思います。

施設でお餅の代わりに工夫した“おしるこ”と昔懐かしい“かきもち”

施設では、皆様一人ひとりの状況が異なります。小さく切ればお餅を食べられる方もいますし、形がないくらいまで調理した食事を召し上がっている方もいます。

それでも少しだけ「お正月」や「鏡開き」などは味わいたいものです。そこで施設の職員が知恵を出し合って用意した、「お餅風レシピ」を紹介します

おしるこ

ゆであずきをミキサーにかけ少量の片栗粉でとろみをつけました。そしてお餅の代わりには、お味噌汁につかう「麩」を水で戻し、半分から1/4の大きさに切り分けます。

その水で戻した「麩」を先ほど作ったしるこに入れるだけ。

お茶と一緒にお出ししたところ、「麩」と気が付く方はいませんでした。

「あら、久しぶりに食べたわ“おしるこ”」と入居者さんは喜んでいました。中には「餅がちいさかったな...」という方もおられましたが、お餅だと思っていた様です。

私も実際味見をしましたが、市販で売っているインスタントのおしるこの食感でした。

かきもち

施設ではお正月の季節を味わうために鏡餅を置きます。今の鏡餅はプラスチック製の餅の容器の中に個包装されたお餅が入っていますので、設置するときにすでに中身のお餅を抜き、小さな正方形切り分け、年末年始を掛けて、切ったお餅を天日干しにします。

そして鏡開きの日に、天日干しで乾いたお餅を揚げてかきもちを作りました。

「子どものときは大きな鏡餅を割って、こうやって食べたわよね」と懐かしがりながら“かきもち”と“おしるこ”を味わっていました。

お餅は注意が必要ですが、高齢者の方が食べてはいけない物ではありません。安全に食べられればよいのです。どうしたら、楽しく味わえるかを周りの介護者が考え、一緒に楽しめるお正月を迎えましょう。

◆では、あと少しだけ、安全に食べられるお正月レシピを紹介いたします。

お餅の代用になる安全レシピ集(高齢者向け・誤嚥予防)

① 餅風ムース(市販品・手作り風アレンジ)

おすすめ度:★★★★★

特徴

  • のどに張り付かない
  • 舌でつぶせるやわらかさ
  • 雑煮・ぜんざいに使える

食べ方

雑煮風
だし+やわらかい具と一緒に
ぜんざい風
あんをかけて

※市販の嚥下調整食(区分対応)を選ぶとより安全です。

ひとことで言うと
餅風ムースは、「お正月気分を安全に楽しむための、やさしいお餅の代わり」です。
「餅風ムース」が手に入らない場合は下記のようなアレンジをお勧めします。

② 里芋と豆腐の「もちもち風」だんご

おすすめ度:★★★★☆

材料(2~3人分)

  • 里芋(皮をむいたもの)200g
  • 絹ごし豆腐 100g
  • 片栗粉 小さじ1~2

作り方

  1. 里芋をやわらかく茹でて潰す
  2. 豆腐・片栗粉を混ぜる
  3. スプーンで丸め、軽く温めて完成

里芋はほどよい粘りでお餅のような食感があり、粘りが強すぎず噛まずに食べやすい食材です。
だしで食べれば雑煮風、あんこで食べればおしるこ風に楽しめます。

③ はんぺん+豆腐の「やわらか雑煮風」

おすすめ度:★★★★★

材料

  • はんぺん
  • 絹ごし豆腐 100g
  • だし

作り方

  1. はんぺんと豆腐を潰して混ぜる
  2. スプーンで成形
  3. だしで軽く温める

ふわふわで噛みつぶしやすく詰まることもなく安心。

煮しめ等を小さく切り、一緒に盛ると見た目も「お雑煮感」が出ます。

④ お麩のとろとろ煮(餅代わり)

おすすめ度:★★★☆☆

特徴

  • お麩は水を含んでやわらかくなる
  • 水に戻すと、お餅の食感に似ている
  • 噛み切りやすい

ポイント

  • 小さめサイズを使用
  • だしをたっぷり含ませる(またはあんこ類でもOK)
  • ※パサつく場合はとろみを追加

混ぜたりゆでたりせず、水に戻すだけの為、簡単に用意できる

※こちらから「お餅代用レシピ」もご覧いただけます

【出典】

All About「餅の代用レシピ! 雑煮・ぜんざいなど子どもや高齢者にも食べやすい工夫」
 https://allabout.co.jp/gm/gc/450278/

 [閲覧日:2025年12月17日]

レシピ選びの大切な考え方

  • ✔ 本物の餅の「粘り」を再現しすぎない
  • ✔ 舌でつぶせるやわらかさ
  • ✔ 水分と一緒にまとまる
  • ✔ 一口量を小さく

「お餅を我慢する」のではなく、
「安全な形でお正月を楽しむ」ことが大切です。

長寿世界一の我が国「日本」。戦前は平均寿命が60歳くらいであったため、お正月のおせち料理などは、高齢者向きには作られていなかった背景があります。

しかし高齢者の方は、古き良き日本の風習を引き継いできました。その為、日本の文化をそのまま超高齢社会に当てはめてしまいがちですが、古き良き文化を残しつつも、安心して過ごせるお正月を社会に合わせて工夫していきたいものですね。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。