「食の楽しみ」~加工食品を選ぶコツ~
中身を知って賢い食品選びを
食品売り場では多種多様な食品が販売されていますが、素材そのものよりも、加工食品の割合がとても多くなっています。そのまま食べられるもの、ひと手間かければ食べられないものなど色々ありますが、「いったいどれがいいのだろう?」と迷ったことはありませんか?
加工食品を見た時に、「美味しそう」とか「便利そう」といった印象だけでなく、「どのような食品なのかな?」と中身を知る視点があると、自分にあった加工品が迷わず選べるようになります。
「なるべく自然なものを選びたい」と思っている人にとっては、「どんな素材から作られているのか、何が入っているのか」がわかれば、選びやすくなりますね。また、アレルギーを持っている方にとっては「どんなものが入っているのか」は命に係わるのでとても重要な情報です。
毎日食べる食品だからこそ、中身に何が入っているかを、ちょっと気にかけてみてはいかがでしょう。今回は、加工品の中身を知るためのコツをお話していきます。
加工食品とは
加工食品とは、素材そのままでなく、何等かの加工が施された食品のことです。野菜を切って袋詰めしただけの加工もあれば、加熱、乾燥、冷凍などの複数の工程を加えたものなど様々です。
加工のメリットは、食べやすくなる、保存性が良くなるなどです。しかし一方で、加工度が上がるほど、商品をパッとみただけでは、どのような原料を使って、どのように作られているのかがわかりにくくなってしまいます。
加工食品の中身の読み方 ~原材料表示~
加工品を選ぶ時に、まず注目したいのが食品の裏側などに表記されている「原材料」表示です。その食品に使われている材料を表示したもので、食品表示法によって義務づけられています。この表示を読み解けるようになると、どのような食品なのかを自分で判断しやすくなります。原材料表記をどう読んだらいいのか、いくつかコツを紹介していきます。
中身を読み解くコツ① 表示の順番
原材料表示は、その食品に使われている材料を使用された重い順(多い順)に並べる決まりがあります。つまり表記されている順番で、何が主な原料なのか、他に何が入っているのかが一目でわかるようになっています。これが中身の読み方の一つ目のコツです。
例えば、あるクッキーの原材料が「砂糖、植物油脂、小麦粉、卵」と書かれていれば、砂糖が最も多く使われていて、卵は比較的少ない、ということになります。この順番を知るだけでも、甘さや油っぽさの程度をイメージしやすくなります。
乾麺の蕎麦の中には、小麦粉、そば粉という順番で書いてあるものもあります。このような蕎麦は、そば粉の割合が少ないので、蕎麦の風味は弱めです。
同じ食品でも商品に対する考え方、製造方法等が異なれば、原材料表示の順番も中身もかなり違うのです。
きなこのスノーボールクッキー
中身を読み解くコツ② 国産と国内製造の違い
なるべく国産品を選びたいと思っている方もいると思います。そういう方にちょっと気にしていただきたいのが、原材料表示によく書いてある「国内製造」と「国産」の違いです。
「国内製造」は、たとえ原材料がすべて外国産であっても、最終的な製品化(袋詰め、味付け、加熱など)の工程を日本国内で行っているものです。例えばアメリカ産の小麦粉を使って国内で麺を作れば、「国内製造」の麺となります。
一方「国産」と書いてあるものは、原材料の原産地が日本であることを意味します。その原料がどこで加工製造されたかは関係ありません。例えば、日本産の小麦を外国で製粉し、その小麦粉を使って国内で麺を作ったとしても、原材料の小麦粉は「国産」と表示できます。
つまり日本国内で作られたものといっても、「日本の畑や海で育った食材を使っている」ものもあれば、「海外から原材料を輸入して国内製造している」ものもあるので、ご自分のこだわりがどちらなのかをちょっと考えてみてください。
そばは殆どが「国内製造」で「国産」は希少
中身を読み解くコツ③ 添加物はどれ?
加工食品の中身で多くの方が気になるのが「添加物」かもしれません。添加物は多種多様で、化学合成的に作られたものだけでなく、天然色素など自然由来のものも含まれます。最近は添加物を気にする人が増えているので、なるべく添加物を減らして加工しようとする傾向もみられます。
原材料表記では、添加物は原則として原材料と区別して記載されます。多くの場合、原材料の最後にカッコ()で括られたり、スラッシュ/で区切られたりしています。カッコやスラッシュのあとに沢山表記されていれば、それだけ添加物が多く使われている食品ということです。
【ソーセージの中身を比較】
*大手メーカー
| 名称 | ポークソーセージ(ウインナー) |
| 原材料名 | 豚肉(輸入・国産),豚脂肪,糖類(水あめ,ぶどう糖,砂糖),食塩, |
| 香辛料/リン酸塩(Na),調味料(アミノ酸),酸化防止剤(ビタミンC), | |
| 発色剤(亜硝酸Na),(一部に豚肉を含む) |
*添加物をなるべく減らして作っているメーカー
| 名称 | 無えんせきソーセージ |
| 原材料名 | 豚肉(輸入),豚脂肪,鶏肉,還元水あめ,大豆たんぱく,食塩,水あめ, |
| コラーゲン,酵母エキス,醤油,緑茶,香辛料,魚介エキス,醸造酢, | |
| 玉ねぎエキス/貝カルシウム,香辛料抽出物,(一部に豚肉・鶏肉・大豆を含む) |
※無えんせきとは:製造工程で亜硫酸塩などの発色剤を使用しないで作る事
中身を読み解くコツ④ 一括表示ルール
添加物は、原則として「物質名」(例:安息香酸Na、ソルビン酸K)で表示されますが、同じ目的でも複数の添加物を使うこともありますし、すべてを羅列するのは大変です。そこで消費者へのわかりやすさを考慮して、用途ごとに一括して表示できる「一括表示名」というルールがあります。
例えば、「乳化剤」という一括表示は「水と油を混ぜてなめらかな食感を作る」物質が複数入っていることを意味します。乳化剤によってその食品の特性を高めている(なめらかな食感、とろみがついている等)事がわかります。
一括表示名でまとめられている個々の物質は、国が安全性を確認したものしか使えないことになっています。 もしも一括表示されている具体的な物質名を知りたい場合は、製造メーカーに問い合わせる必要があります。
≪よく見かける一括表示の名称と役割の例≫
| pH調整剤 | 保存性を高め、色や風味を安定させる | クエン酸、リン酸 |
| 増粘剤 | とろみをつけて滑らかな食感をつくる | キサンタンガム、グアーガムなど |
| イーストフード | パンのイースト菌の働きを助けふっくらさせる | 塩化アンモニウム、リン酸塩など |
| かんすい | 中華麺のコシや風味をだす | 炭酸カルシウムなど |
中身を読み解くコツ⑤ 無添加表示の落とし穴
「無添加」と表示されている商品は、添加物を使用していないことをアピールしていますが注意が必要です。「無添加」=「添加物ゼロ」ではない場合があるからです。
「保存料無添加」と書いてあっても、保存料ではない他の添加物(乳化剤など)は使われている可能性があります。また加工品の製造工程で「加工助剤」として使われた添加物は表示されないので、最終製品に残らない添加物(例:油を揚げる時に使う酸化防止剤など)は、表示が免除されることがあります。このように「無添加」と表示されていても、本当に何も添加していないとは限らないのです。
天然由来なら安心?
日本では天然由来の添加物なら、自然で安心というイメージがあります。しかし、自然界の植物や動物は本当に安全でしょうか?動植物にはフグ毒やジャガイモの芽に含まれるソラニンなど毒性のものもあります。天然由来の添加物も化学的な添加物同様に安全性を確認できたものが使われています。天然だからと安心とイメージで判断するのではなく、化学的に安全性が確認されているどうかという視点で判断したいものです。
また、天然由来の添加物は、日本では認められていても別の国では認められないことがあります。例えば、日本でよく使われている天然由来のベニバナ色素はアメリカでは着色料として認められていません。国によっても添加物の基準は異なるのです。
「有機」・「オーガニック」・「無農薬」の違い
日本では「有機JAS制度」に基づき、農薬や化学肥料に頼らず、自然の力を活かして育てた農産物や加工品を「有機」と表示できます。認証を受けたものには緑の「有機JASマーク」がついています。
本来は認証を受けたものだけが「有機〇〇」と呼べるのですが、認証費用や手続きの面倒さなどを理由に、認証を受けなくても「有機〇〇」使用と謳っている生産者も多く存在しているのが現状です。なお、有機とオーガニックは同じ意味です。
一方、「無農薬」という表示は、基本的に公的な表示としては認められていません。なぜなら、近隣の農地から飛散したり、取水した水から農薬が混入する可能性もあるので農薬を使っていないことを証明するのは困難だからです。
しかし現状では「無農薬」と謳って販売している人達が存在しています。「無農薬」と書いてあっても、どこまで保証された内容なのかは明確でないケースが殆どです。私は仕事で様々な生産者の方々と接するのですが、「有機」「無農薬」などの表示に関して、生産者本人の意識や解釈にかなりばらつきがあるのを感じます。
その他の食品に関する表示
加工食品には原材料表示以外にも食品の中身に関する情報が書かれています。栄養成分表示、アレルギー表示、賞味期限・消費期限などで、それぞれ重要な情報を提供しています。これらの表示を読み解くと、食品に対するより深い理解を得られます。
| 原材料表記 | 食品の素材や品質を確認できる |
| 栄養分表示 | その食品を食べる事で摂取できるカロリーや塩分量などを把握できる |
| アレルギー表示 | アレルギーを持つ人が原因物質を含まれる食品を把握できる |
| 賞味期限 | 食品の品質に関する期限表示「おいしく食べられる期限」が把握できる |
| 消費期限 | 食品の品質に関する期限表示「安全に食べられる期限」が把握できる |
食品の中身がわかれば、自分にあった食品を選びやすくなる
今回は、食品に記載されている表示を読み取るコツをお伝えしてきました。コツを知っていれば、食品の中身がわかりますし、自分に合った食品が選びやすくなります。また、飛び交っている情報に惑わされずに、自分で判断することもできます。
慣れるまでは、表示の情報を読み取るのがちょっと難しく感じるかもしれませんが、まずは自分が好きな食品やよく食べている食品から調べてみてください。きっと新しい発見があると思います。
この記事の執筆者
有限会社コートヤード
代表取締役 新田美砂子
農産物プロデューサー・フードデザイナー
MBA(経営管理修士)、NPO法人野菜と文化のフォーラム理事
「今ある資源を活かす」「もったいないをなくす」「健康的に食べる」をモットーにして、様々な形で農と食を繋いでいる。商品・メニュー開発、地域食材・農産物のマーケティング、地域活性化などを多数手がけてきた。
日本野菜ソムリエ協会講師、城西国際大学では食の知識と体験学習を織り交ぜた「環境と食文化」の講義を5年間担当。近年は様々な現場に携わってきた経験を活かし、食や農に対する「なぜ?」をわかりやすくフラットに伝えている。

