脱水症状とは?

脱水症状とは?

脱水症状とは?

◎軽度の脱水症状

  • のどの渇き
  • 口の中や舌が乾く
  • 尿の量が減る(色が濃い黄色になる)
  • 軽いめまい
  • 倦怠感(だるさ)

◎中等度の脱水症状

  • 強いのどの渇き
  • 頭痛
  • 集中力低下
  • 皮膚の乾燥
  • ふらつき、立ちくらみ
  • 尿がほとんど出ない

◎重度の脱水症状(緊急対応が必要)

  • 意識がぼんやりする・反応が鈍い
  • 強い眠気や意識消失
  • 皮膚をつまむと元に戻りにくい(皮膚の張りがなくなる)
  • 血圧低下、脈が速い
  • 痙攣

などの症状が出ることがあります。

また、乳幼児や高齢者では症状に気が付かない・訴えることができないことにより、脱水が急速に進行するため、特に注意が必要です。

以下のようなサインも危険です。

  • おしっこが半日以上出ない
  • 泣いても涙が出ない
  • ぐったりしている

こうした症状があれば、早めに医療機関を受診しましょう。

脱水症状の診察

脱水症状の診察では、次の所見を確認します。

◎全身状態の観察

  • 意識レベルの低下(JCS、GCS評価)
  • 活気がない、ぐったりしている
  • 表情がぼんやりしている

◎皮膚・粘膜の所見

  • 皮膚の乾燥
  • 例:上腕内側をつまんで放す→皮膚の戻りが遅い口腔粘膜の乾燥
    舌・頬粘膜(口の中)が乾いている

  • 冷汗

◎循環動態の変化

  • 頻脈(脈が早い:補正しようとする反応)
  • 血圧低下(特に起立性低血圧)
  • 末梢冷感

◎尿量の確認

◎排尿回数・色(濃縮尿、乏尿)

高齢者ではエアコンが苦手?な方が多く見受けられます。
「窓を開けていると風通しがいいので大丈夫」、「エアコンは寒いから嫌い」などと言われます。しかし、外気温が30度を超えていて、扇風機を回したところで、熱風しか来ません。また、肌着などが汗ばむことにより、寒く感じる高齢者も多く、夏場なのに厚着をして「寒い・寒い」と言っているのは、熱中症のリスクがとても高くなります。

室内温度、エアコンを28度に設定していても、湿度が高ければ熱中症リスクが上がりますので、除湿とクーラーをうまく使いながら、工夫してみてください。特に80歳以上では、体内水分量の低下・口渇感の低下・認知機能低下が重なり、脱水が重症化しやすい傾向があります。

高齢者が全体の6割以上

令和6年5月から9月の全国における熱中症による救急搬送人員の累計は 97,578人でした。これは、平成 20年の調査開始以降、最も多い搬送人員でした。
また、昨年度同期間の救急搬送人員 91,467 人と比べると 6,111人増となっています。

熱中症による救急搬送の年齢別・傷病程度別内訳

全国の熱中症による救急搬送状況の年齢区分別、初診時における傷病程度別等の内訳は次のとおりです。

  • 年齢区分別では、高齢者が最も多く、次いで成人、少年、乳幼児の順となっています。
  • 初診時における傷病程度別にみると、 軽症が最も多く、 次いで中等症、重症の順となっています。
  • 発生場所別の救急搬送人員をみると、住居が最も多く、次いで道路、公衆(屋外)、仕事場①(道路工事現場、工場、作業所等)の順となっています。

■年齢区分別の救急搬送人員

高齢者(満 65歳以上)が最も多く 55,966人(57.4%)、次いで成人(満 18歳以上満 65歳未満)32,222人(33.0%)、少年(満7歳以上満 18歳未満)8,787人(9.0%)、乳幼児(生後 28日以上満7歳未満)601人(0.6%)の順となっています。

■医療機関での初診時における傷病程度別の救急搬送人員

軽症(外来診療)が最も多く 63,718人(65.3%)、次いで中等症(入院診療)31,194 人(32.0%)、重症(長期入院)2,178 人(2.2%)、死亡 120 人(0.1%)の順となっています。

総務省 令和6年 10 月 29 日消 防 庁データより引用
https://www.fdma.go.jp/publication/ugoki/items/rei_0609_08.pdf

上記データからもわかるように、屋内・住居での脱水症状の割合が最も高く、屋内脱水の特徴は、ゆっくり進む・気づきにくいことです。

原因として、下記があります。

  • エアコンをつけていない
  • 長時間寝たきり・動かない
  • トイレが面倒で水分を控える
  • 食事量低下(食事からの水分も減る)
  • 風邪や下痢などの急性症状
  • 利尿剤や薬の影響など

熱中症にならないためには

屋内の環境整備

 室温管理

  • 夏:エアコンを28℃以下に調整
  • 冬:乾燥に注意(加湿器・水分補給)

湿度調整

  • 湿度40〜60%
  • 除湿機の活用

水分摂取の習慣化

  • コップに水を用意し見える場所に置く
  • 起床時・食事・入浴後に飲む
  • こまめな水分摂取

食事の習慣化

  • 汁物や果物を取り入れる

トイレ誘導

  • トイレが面倒で水分を控える人は、排泄支援をする

定期声かけ・確認

  • 「お水飲んでくださいね」
  • 「尿の色は大丈夫ですか?」

寝具・衣服

  • 通気性のよい素材
  • 汗をかいたらすぐ交換

などの対応が必要です。

Q&A

Q&A:水分摂取はどれくらいの量を飲んだらいいの?

A)

目安としては体重あたり、30〜50ml/kgとなります。
筋肉量や体の大きさ、活動量(外での作業と室内での作業など)にもよりますが、体重50kgの方で、1日1500ml〜2500mlとなります。ただし、食事からの水分(味噌汁、野菜、果物)約700~1,000mLや、体内代謝水:約300mL(食べ物に含まれる栄養素が、細胞内でエネルギーに変換される際に水が生成される)があるため、直接飲む水分・飲水量は約1,200〜1,500mlとなります。

注意:心臓病や腎臓病などで水分制限の指示が医師よりある方は、この限りではありませんので、ご注意ください。

Q&A:どのような飲み物を飲めばいいの?

A)

脱水症状になってから対応するのではなく、ならないために日常的にこまめに水分摂取をすることが重要です。

日常的な水分補給に適した飲み物

  • カフェインが少ないまたは無い
  • 糖分が過剰でない
  • 電解質が適度に含まれている(必要に応じて)
  • 飲みやすい

コーヒーやアルコールなどは利尿作用、脱水作用があるため適しておりません。日常補給のポイント

  • のどが渇く前に飲む(1日7~8回)
  • 食事でも水分を摂る(味噌汁・野菜・果物)
  • 暑い日はコップ1杯多めに
  • 高齢者・お子さんは声かけで意識的に摂取
  • 運動・入浴後はプラス1~2杯

とくに注意が必要なケース

  • 高齢者や腎臓病患者 → カリウムや塩分を含む飲料は注意
  • 糖尿病の方 → 糖分入り飲料はNG
  • 脱水リスクが高い方 →アルコール・カフェイン多量はNG

Q&A:経口補水液を脱水予防で毎日飲んでいます

A)

市販の経口補水液の成分を見てみましょう。
100mlあたり、ナトリウムは約115mg、カリウムは約78mg、塩化物は約177mg、ブドウ糖は約1.8g、リンは約6.2mg、クエン酸は約0.10g、エネルギーは約10Kcalとなります。
ナトリウムやカリウムの量が多く入っているため、心臓や腎臓の持病がある方や、特に高齢者ではとりすぎに注意が必要です。

実際、私の薬局や在宅訪問の患者さんには、日常の水分摂取としては勧めておりません。
まめに水分を取るのであれば、昔ながらの麦茶が一番適しています。

また、スポーツドリンクは糖分が多く含まれているため、糖尿病などの持病があるかたは注意が必要です。

Q&A:エンシュアやラコール、市販の栄養剤の水分量は?

A)

高齢者で栄養補助として医薬品、市販などの栄養剤を摂取している方がいらっしゃいます。
これらは、大体100〜250mlほどのパックや缶に入っていると思ます。
よく、「1日の水分摂取量にこの栄養剤の量を含めてもいいのか?」との質問を受けますが、
これらの純粋な水分量は約70〜80%となります。

 水分補給に適した飲み物

飲み物 特徴 おすすめ度

最も基本的で体への負担が少ない。カフェイン・糖分なし。

麦茶

カフェインゼロ。香ばしく飲みやすい。微量のミネラルを含む。

ほうじ茶(薄め

カフェイン少なめで飲みやすい。香りでリラックスできる。

ルイボスティー

カフェインゼロ。抗酸化成分を含む。飲みやすく香ばしい。

白湯

胃に優しく体を冷やさない。消化にもやさしい。

無糖炭酸水

糖分ゼロ。気分転換に適する。過剰摂取は胃を刺激する場合あり。

薄めたスポーツドリンク
(2〜3倍希釈)

電解質補給に役立つが、糖分が多いため常用は控える。

牛乳

栄養補給を兼ねる。たんぱく質・カルシウムが豊富。

カロリー注意。

経口補水液

脱水症状の予防・対処用。日常的な水分補給には不向き。

 この記事の執筆者

合同会社Sparkle Relation

代表 小林輝信

北里大学薬学部卒業
【資格】
認定 薬剤師/介護支援専門員/iACP認定/MBA/

【所属団体】
一般社団法人全国薬剤師・在宅療養支援連絡会(J-HOP)会長
一般社団法人日本アカデミック・ディテーリング研究会 理事
日本老年薬学会所属
日本服薬支援研究会所属