ササプリメント、安心して飲めていますか?
薬との関係を知り、正しく使うために
健康のためにサプリメントを取り入れている人は年々増えています。ビタミンやミネラル、ハーブ製品、青汁、プロテインなどは、ドラッグストアやインターネットで手軽に購入でき、「食品だから安全」と感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、サプリメントと医薬品の飲み合わせによって、思わぬ体調不良や薬の効き目の変化が起こることがあります。これは決して珍しいことではなく、医療現場では日常的に相談を受ける問題です。
サプリメントと医薬品の違い
サプリメントは医薬品とは異なり、販売前に医薬品と同じ水準で有効性や安全性が厳密に検証されているわけではありません。そのため、含有成分の量にばらつきがあったり、薬との相互作用に関する情報が十分に整理されていないものもあります。
影響はすぐに強い症状として現れるとは限らず、だるさ、食欲不振、下痢、出血しやすさ、肝機能の数値異常など、一見すると年齢や体調の変化と区別がつきにくい形で現れることがあります。
特に複数の薬を服用している方や高齢の方では、体内での処理能力が低下していることもあり、成分が体に残りやすくなるため、より慎重な確認が必要です。
薬とサプリメントが影響し合う仕組み
薬とサプリメントが影響し合う背景には、いくつかの仕組みがあります。
その代表的なひとつが、薬の分解に関わるCYP(シトクロムP450)という酵素群です。
薬は吸収された後、一定の血中濃度、つまり血液中にどれくらいの濃さで存在するかによって効果を発揮します。
この血中濃度が高すぎれば副作用が出やすくなり、低すぎれば十分な治療効果が得られません。CYPは主に肝臓に存在しますが、小腸にも分布しており、特に小腸CYP3A4は多くの内服薬の代謝に関与しています。
口から飲んだ薬は小腸で吸収され、その後肝臓へ運ばれますが、この過程で小腸や肝臓のCYPによって一部が分解されます。これを初回通過効果と呼びます。
この仕組みによって体内に入る薬の量が調整され、血中濃度が安全な範囲に保たれています。
食品やハーブによる影響
しかし、食品やハーブがこのCYPの働きを変えてしまうことがあります。
グレープフルーツに含まれる成分は小腸CYP3A4を阻害することが知られており、本来分解されるはずの薬が分解されずに体内へ多く取り込まれるため、血中濃度が上昇し、効きすぎや副作用のリスクが高まります。カルシウム拮抗薬やシクロスポリンなどで問題となることがあります。
逆に、セントジョーンズワートはCYPを誘導し、分解を促進することで血中濃度を低下させ、エストロゲン製剤や一部の睡眠薬などの効果を弱めることがあります。重要なのは、こうした変化は目に見えないため気づきにくいという点です。
「最近効きが弱い」「副作用が強くなった気がする」といった変化の背景に、食品やサプリメントが関係していることもあります。
代謝以外の相互作用
ただし、すべての相互作用がCYPによるものではありません。薬とサプリメントの影響は、分解だけでなく、吸収や作用の重なりなど、さまざまな仕組みで起こります。
例えば、ワルファリンは血を固まりにくくする方向に働きますが、ビタミンKはその逆に血を固める方向に作用するため、同時に多く摂取すると薬の効果が弱まります。テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌成分とカルシウムや鉄を一緒に摂ると、腸内で結びついてしまい、薬が吸収されにくくなります。
レボチロキシンナトリウムも同様にカルシウムや鉄で吸収が低下することがあります。
抗血小板作用をもつ成分とEPAやビタミンEが重なると、血をサラサラにする作用が強まり、出血しやすくなることがあります。
カフェインと中枢神経に作用する成分が重なれば、動悸や不眠、落ち着かなさが強く出ることもあります。
サプリメントの使い方にも注意
さらに、サプリメントの使い方そのものにも注意が必要です。健康意識の高まりとともに、複数のサプリメントを併用している方が増えています。
マルチビタミン、カルシウム、鉄、青汁、DHAなどを組み合わせているうちに、同じ成分を過剰に摂取してしまうことがあります。ビタミンやミネラルは不足しても問題ですが、過剰でも体に負担をかけることがあります。
青汁は健康的なイメージがありますが、含まれるビタミンやミネラルが薬の作用に影響する場合があります。
プロテインも食品ではありますが、過剰摂取は腎臓への負担となる可能性があります。特に高齢の方や腎機能が低下している方では注意が必要です。
海外製サプリメントのリスク
近年増えているのが、インターネットで購入した海外製サプリメントに関するトラブルです。
中には日本では未承認の医薬品成分が含まれていたり、ステロイドが混入していた例も報告されています。表示よりも高用量の成分が含まれていたケースもあり、肝障害やホルモン異常、副腎機能の低下などにつながった事例もあります。「海外で人気」「口コミが良い」という情報だけで安全性を判断することはできません。
体に入るものはすべて、何らかの作用をもつ可能性があります。
安心して使うために
こうしたリスクを防ぐために重要なのが、誰かに相談することです。
その役割を担うのが薬剤師です。薬剤師は処方薬だけでなく、市販薬、サプリメント、健康食品を含めて体に入るもの全体を確認し、血中濃度や代謝経路、吸収の問題、作用の重なりなどを総合的に評価します。
大切なのは、サプリメントを一律に否定することではありません。その人の体調や治療内容、年齢、生活習慣に合っているかを見極めることです。「健康のために飲んでいるもの」も含めて共有することで、危険な組み合わせがないか、量は適切か、続けて問題ないかを確認できます。
サプリメントは正しく使えば健康を支える存在です。
しかし、自己判断のまま続けると見えにくいリスクを抱えることがあります。毎日の安心のために、薬だけでなくサプリメントのことも、ぜひ身近な薬剤師に相談してみてください。
この記事の執筆者
合同会社Sparkle Relation
代表 小林輝信
北里大学薬学部卒業
【資格】
認定 薬剤師/介護支援専門員/iACP認定/MBA/
【所属団体】
一般社団法人全国薬剤師・在宅療養支援連絡会(J-HOP)会長
一般社団法人日本アカデミック・ディテーリング研究会 理事
日本老年薬学会所属
日本服薬支援研究会所属

