夏の健康を守ろう「夏の時期に知っておきたい応急処置」~「様子を見る」が危険につながることもあります~

夏の健康を守ろう

「夏に知っておきたい健康トラブルと応急処置」

早めの対応が重症化を防ぐ第一歩です

夏は気温や湿度の上昇により、体調を崩しやすい季節です。

特に高齢者は体内の水分量が少なく、暑さや体調変化を感じにくいため、症状が重症化することがあります。

また、夏場は熱中症だけでなく、脱水症状、食中毒、虫刺され、やけど、転倒などさまざまな事故や体調不良が起こりやすくなります。

いざという時に慌てないためにも、基本的な応急処置を知っておきましょう。

夏に起こりやすい10のトラブル

夏に起こりやすい体調不良やけがへの応急処置を紹介します。

体調不良

1.熱中症

熱中症は、高温多湿な環境で体温調節がうまくできなくなり、体内に熱がこもることで起こります。

特に高齢者は症状を自覚しにくく、周囲も変化に気づきにくいため注意が必要です。

症状 めまい・頭痛・吐き気・倦怠感・筋肉のけいれん・意識障害
受診の目安
  • 呼びかけに反応しない
  • けいれんしている
  • まっすぐ歩けない
  • 水分を受け付けない

このような場合は直ちに119番通報が必要です。

熱中症の応急処置

応急処置を少し詳しく紹介します。

①涼しい場所へ移動 エアコンの効いた室内や風通しの良い日陰へ移動します。
②衣服をゆるめる ベルトや襟元をゆるめ、熱を逃がしやすくします。
③体を冷やす 首、脇の下、足の付け根など太い血管のある場所を保冷剤や冷たいタオルで冷やします。
④水分・塩分補給 経口補水液やスポーツドリンクを少しずつ飲みます。

2.脱水症状

脱水症状は、熱中症につながることもあります。

高齢者は「のどが渇いた」と感じにくく、水分不足に気づきにくいため注意が必要です。

症状 微熱・食欲低下尿量の減少・口の渇き・尿が濃い
応急処置 安静にし、経口補水液などを少量ずつ補給する。
受診の目安
  • 涼しい場所で安静にする
  • 経口補水液を少量ずつ飲む
  • 一度に大量の水を飲ませない

脱水が進行すると意識障害や腎機能障害を起こすことがあります。

3.食中毒

夏は細菌が繁殖しやすく、食中毒が発生しやすい季節です。

高齢者は体力や抵抗力が低下している場合があり、下痢や嘔吐による脱水などが重なることで、症状が重くなる場合があります。

下痢止めなどの薬は、自己判断で使用せず、症状に応じて医療機関へ相談しましょう。

症状 腹痛・下痢・吐き気・嘔吐・発熱
応急処置 安静にし、脱水を防ぐため少量ずつ水分補給を行う。
受診の目安

血便、高熱、意識障害などがある場合は、速やかに医療機関へ相談しましょう。

4.夏風邪や感染症

感染症は冬だけでなく、夏にも発生します。

夏風邪など、季節を問わず感染症への注意が必要です。

症状 発熱・咳・のどの痛み・下痢
応急処置 水分補給と休養を行い、室温を調整する。
注意点

高齢者は脱水を起こしやすいため、体調の変化に注意しましょう。

けが・事故

5.やけど

夏は花火やバーベキュー、熱い飲み物などによるやけどが起こりやすい季節です。

強い日差しによる日焼けも、程度によってはやけどと同じような状態になることがあります。

応急処置
  • 流水で15~20分程度冷やす
  • 指輪や時計などは早めに外す
  • 水ぶくれはつぶさない
受診の目安
  • 広範囲のやけど
  • 顔や陰部のやけど
  • 深いやけど

重症化や傷口からの感染を防ぐためにも、早めに医療機関を受診しましょう。

6.転倒・骨折

暑さによる体力低下や脱水によるふらつきから、転倒につながることがあります。

応急処置 無理に動かさず、患部を安静にする。

受診の目安

  • 激しい痛み・変形
  • 腫れ・体重をかけられない

高齢者の骨折は、その後の生活に影響することがあります。
転倒後は無理に動かさず、状態を確認しましょう。

7.鼻血

夏場は暑さや血圧上昇により鼻血が出ることがあります。

応急処置 少し前かがみになり、小鼻を圧迫する。
注意点

上を向くと血液を飲み込むことがあるため、避けましょう。

8.こむら返り(足がつる)

大量の汗によって水分やミネラルが不足すると、こむら返りが起こることがあります。

応急処置 ゆっくり筋肉を伸ばし、水分・塩分を補給する。

注意点

繰り返し起こる場合は、脱水や熱中症のサインの可能性もあります。

9.擦り傷・切り傷

夏は散歩や外出の機会が増えるため、転倒などによるけがにも注意しましょう。

応急処置 流水で洗い、清潔なガーゼなどで保護する。
注意点

土や砂が入った傷をそのままにすると、感染につながることがあります。

10.虫刺され

夏は蚊だけでなく、ブヨやアブ、ハチなどによる被害も増える時期です。

応急処置 流水で患部を洗い、冷やします。必要に応じて市販のかゆみ止めなどを使用しましょう。

注意点

腫れが強い場合や、体調の変化がある場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。

虫刺されによる感染やハチ刺されなど、注意したいポイントを詳しく紹介します。

侮れない虫刺され

「たかが虫刺され」と思っていませんか

「たかが虫刺され」と思っていても、かゆみや腫れが続いたり、掻き壊しによって皮膚トラブルにつながったりすることがあります。

虫刺されというと、「かゆいだけ」「少し腫れるだけ」と軽く考えられがちですが、実は虫刺されがきっかけで重症化し、命に関わる状態になることもあります。

蚊やブヨ、アブにも注意

夏になると蚊やブヨ、アブなどの虫が活発に活動します。

蚊による虫刺されは、かゆみだけでなく、掻き壊しによって皮膚を傷つける原因になることがあります。ブヨやアブは、刺された後に腫れやかゆみが強く出る場合があります。

症状が長引く場合や、普段と違う変化がある場合は、医療機関へ相談しましょう。

虫刺されを防ぐために

外出時は、肌の露出を少なくしたり、虫よけ剤を使用したりすることで、虫刺されの予防につながります。

また、虫刺されによるかゆみがある場合は、市販のかゆみ止めなどを使用することで症状を和らげることがあります。

掻き壊しによる悪化に注意

虫刺されによるかゆみで患部を掻くと、皮膚が傷つくことがあります。
傷口から細菌が入り込むと、症状が悪化する場合があるため注意が必要です。

  • 「最初は小さな虫刺されだった」
  • 「気づいたら掻き壊していた」
  • 「傷口が赤く腫れて膿んでしまった」

小さな傷でも、高齢者では皮膚トラブルが長引く場合があります。
早めに状態を確認することが大切です。

  • 赤みが広がる
  • 腫れが強くなる
  • 熱を持っている
  • 膿が出る
  • 発熱がある

このような変化がある場合は、医療機関への相談を検討しましょう。

特に注意したいハチ刺され

ハチに刺された場合、刺された場所だけでなく、体調に変化が出ることがあります。

応急処置
  • 針が残っていれば取り除く
  • 冷やしながら安静にする
  • 刺された周囲の赤みが広がる
  • 熱を持つ
  • 強い痛みが出る
  • 腫れが広がる
  • 発熱する
  • 息苦しさ
  • 顔や唇の腫れ
  • 全身のじんましん
  • 意識がもうろうとする

このような症状がある場合は、速やかに救急要請を検討してください。

まれに、アナフィラキシー(重いアレルギー反応)や蜂窩織炎(細菌による皮膚の感染症)など、医療機関での対応が必要となる場合もあります。異変を感じた場合は、早めに受診しましょう。

応急処置の早見表

※詳しい症状や受診の目安については、各項目をご確認ください。

体調不良

症状・トラブル 応急処置
熱中症 涼しい場所へ移動し、衣服をゆるめる。
首や脇の下などを冷やし、水分・塩分補給を行う。
脱水症状 安静にし、経口補水液などを少量ずつ補給する。
食中毒 安静にし、水分補給を行う。
症状が続く場合は医療機関へ相談する。
夏風邪・感染症 水分補給と休養を行い、室温を調整する。

けが・事故

症状・トラブル 応急処置
やけど 流水で冷やし、水ぶくれはつぶさない。
転倒・骨折 無理に動かさず、患部を安静にする。
鼻血 少し前かがみになり、小鼻を圧迫する。
こむら返り ゆっくり筋肉を伸ばし、水分・塩分を補給する。
擦り傷・切り傷 流水で洗い、清潔なガーゼなどで保護する。
虫刺され 流水で洗い、患部を冷やす。腫れや体調変化がある場合は相談する。

高齢者介護で大切な観察ポイント

高齢者は体調の変化をうまく伝えられない場合があります。
そのため、日頃から小さな変化に気づくことが重要です。

熱中症や脱水症状は、気づいた時には症状が進んでいる場合があります。

夏場は、「大丈夫です」「平気です」という言葉だけで安心せず、表情や顔色、発汗の状態、水分摂取量、尿量なども確認しましょう。

観察ポイント

  • 何となく元気がない
  • 食事量が減った
  • いつもより眠そう
  • 会話が少ない
  • 歩き方がおかしい

応急処置の基本

  • 早く気づく
  • 涼しい環境を整える
  • 水分補給を行う
  • 無理をさせない

症状が改善しない場合や、意識障害、呼吸困難、高熱などがみられる場合は、医療機関への相談や救急要請を検討しましょう。

日頃からの見守りや早めの対応が、高齢者の健康を守ることにつながります。

暑い夏を安全に過ごすためにも、応急処置の知識を身につけておきましょう。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。