【お役立ち情報】保育部門の月別研修

保育部門の月別研修

 私どもJALAでは、福祉部門の一部として「てりは保育園」を運営し、保育・子育て支援事業もおこなっております。

 日本の未来を担う、現代の子どもたち。保育・子育て支援事業にも人材育成が必要です。JALAでは、年間カリキュラムを介護施設、障がい者施設と同様、保育園の職員に対しても、保育に必要な内容の研修を用意し、人材を育成しています。

てりは保育園・園内研修スケジュール

2025年度の園内研修のミッション

「保育所保育指針と子ども大綱を理解し、不適切保育に向き合う」

「保育所保育指針」を深く理解し「子ども基本法」や「子ども大綱」に向き合うことです。1年間の園内研修によって、保育所保育指針を網羅するように作成しています。

また、参加・体験型の園内研修を通して、不適切保育に対しての全職員の意識の改善と改革がミッションです。

≪研修スケジュール≫

4月 事故防止・事故発生時対応・救命救急
年度初めの自己目標記入(自己評価シートの最後にセット)
5月 感染症対応
ミッションシート①(クラスごと)
6月 保育のアイディア
☆事前に保育所保育指針の閲覧あり☆お昼のワークショップ(月内2・3回)
7月 虐待防止・不適切保育
コミュニケーション研修①
8月 アレルギー対応・食育
ミッションシート②(クラスごと)、コドモン、動画閲覧( 28:44)
9月 災害時対応自己評価チェックシート、園のハザードマップ
10月 子ども基本法 動画閲覧( 4:49)子ども大綱(たいこう)動画視聴( 3:56)
 11月 発達支援・環境設定(乳児)ミッションシート③
 12月 ケースワーク研修
 1月 保育所保育指針の理解を基盤に(見直そう。保育現場の謎ルール)
年度末自己目標シートの記入、コドモン、動画閲覧( 53:20) 幼保小連携
 2月 家庭内での虐待・子どもの人権尊重
不適切保育ミッション④
 3月 保護者対応・保護者支援
★コミュニケーション研修② ◇YouTube動画閲覧( 11:00)

事故防止・事故発生時対応

①事故防止の考え方

「保育園での事故防止」の考え方の基礎を共有する。

保育園は「育つ場」です。

保育施設では、事故はつきものです。しかしながら、「だから事故防止を諦める」「事故が起きてもよい」ということではありません。

事故ゼロを目指すのではなく、「次に同じことを起こさない」ための対策を講じます。

②場面別に事故防止を考える

「給食」「プール」「お昼寝」「遊具」「戸外活動」などの日常様々な場面について安全の確保を行い周囲の危険を発見し排除します。

③事故発生時の為の備える

「心肺蘇生」や誤嚥の際の「気道異物除去法」などの救命救急について、動画やデモ人形を使用した実技演習などを行い、事故発生時に備えます。

感染症対策

1. 乳幼児の特性を理解する

  • 免疫機能が未熟なことで感染症に罹患しやすく重症化しやすい特性
  • 気道が狭く呼吸器症状が悪化しやすい特性
  • 水分が失われやすく、脱水になりやすい特性

2. 日常の感染予防

  • 手洗いの徹底(職員・子ども)、環境の清潔維持(玩具・床室内・トイレ)
  • 気道が狭く呼吸器症状が悪化しやすい特性
  • 個人用品の分け方(タオル・食具)、適切な換気

3. 体調の変化を早期発見

  • 微熱・咳・鼻水・元気がないなど小さな変化を見逃さない
  • 職員間・保護者との情報共有

4. 感染拡大を防ぐ対応

  • 発症児の保護・休息・隔離スペースの確保
  • 必要に応じて医療機関受診・保護者連絡
  • 正しい知識を持つ(感染経路・症状・消毒方法など)

虐待防止・不適切保育

不適切保育とは?

子どもの心や尊厳・安全・権利を損なう保育行為のことを言います。

  • 急かす・否定する・乱暴な言葉
  • 放置・一人だけ違う扱い
  • 配慮のない抱き方など

では、なぜこのような不適切保育は起こってしまうのか?

様々な可能性について、職員1人1人が理解していく必要があります。

実際の現場は忙しく、思うように動いてくれない子供にイライラしたり、事故を起こさないようにと気を抜くことが出来ない中で余裕がなくなり感情的になってしまいます。

子供たちをいい子に育てて、保育スムーズに進めていくことが保育士の仕事であると誤解している場合があります。そのことが子どもたちに完璧を求め、現状と認識の歪みが不適切保育に発展している可能性もあります。

※子どもたちを「大人の言うことを間違いなく実行できる子に育てる」のではなく「一人の人間として尊重される存在」と捉えることが大事

アレルギー

アレルギー疾患とは

本来は体に害のない物質(花粉・食べ物など)を、体が「敵」と勘違いして免疫が過剰に反応し症状を起こす状態です。この原因となる物質を「アレルゲン」と呼びます

保育所におけるアレルギー対応の基本原則

◆ 全職員を含めた関係者の共通理解の下で、組織的に対応すること

  • 対応のマニュアルの整備や、緊急時の役割分担・記録に基づく説明の実施を行う。
  • 保護者等と連携し、適切に対応する。

◆ 医師の診断指示に基づき対応すること

  • 生活管理指導表に基づく対応が必須となる。
  • 「生活管理指導表」は保育所と医師と保護者をつなぐ重要な書類。医療機関の専門的な支援、関係機関との連携、地域の専門的な支援を図る。

◆ 食物アレルギー対応においては安全・安心の確保を優先すること

  • 提供するか、しないか(提供しない場合の代替食)を明確にする。
  • 家庭で食べたことのない食物は、保育所では提供しない。

食育

食育とは?

「食育」とは、様々な経験を通じて、「食」に関する興味や関心と、バランスの良い「食事」を選択する力を身に付け、健全な食生活を実践できる力を育むことです。
ここで食育活動についての保育施設としての基本的な考え方を再確認しましょう。

『楽しく食べる子どもに~保育所における食育に関する指針~厚生労働省』

  1. お腹の空くリズムの持てる子ども
  2. 食べたいもの、好きなものが増える子ども
  3. 一緒に食べたい人がいる子ども
  4. 食事づくり、準備にかかわる子ども
  5. 食べ物を話題にする子ども

「こども基本法」・「こども大網」

こども施策を決めるうえで大切な6つの基本理念

  1. 全ての子どもは大切にされ、基本的な人権が守られ、差別されないこと
  2. 全ての子どもは、大事に育てられ、生活が守られ、愛され、保護される権利が守られ、平等に教育を受けられること
  3. 年齢や発達の程度により、自分に直接関係することに意見を言えたり、社会のさまざまな活動に参加できること
  4. 全ての子どもは年齢や発達の程度に応じて、意見が尊重され、子どもの今とこれからにとって最も良いことが優先して考えられること
  5. 子育ては家庭を基本としながら、そのサポートが十分に行われ、家庭で育つことが難しい子供も、家庭と同様の環境が確保されること
  6. 家庭や子育てに夢を持ち、喜びを感じられる社会をつくること

  これらの6つの基本理念と、こどもや若者自身の意見を取り入れ、国や都道府県、市区町村は子ども施策を進めていきます。

こども大綱(こどもたいこう)とは「こどもまんなか社会」

  1. 心身ともに健やかに成長できる
  2. 個性や多様性が尊重され、尊厳が重んぜられ、ありのままの自分を受け入れ容れて大切に感じる(自己肯定感を持つ)ことができ、自分らしく、一人一人が思う幸福な生活ができる
  3. 様々な遊びや学び、体験等を通じ、生き抜く力を得ることができる
  4. 夢や希望を叶えるために、希望と意欲に応じて、のびのびとチャレンジでき、将来を切り開くことができる
  5. 固定観念や価値観を押し付けられず、自由で多様な選択ができ、自分の可能性を広げることができる
  6. 自らの意見を持つための様々な支援を受けることができ、その意見を表明し、社会に参画できる
  7. 不安や悩みを抱えたり、困ったりしても、周囲の大人や社会にサポートされ、問題を解消したり、乗り越えたりすることができる
  8. 虐待、いじめ、体罰・不適切な指導、暴力、経済的搾取、性犯罪・性暴力、災害・事故などから守られ、困難な状況に陥った場合には助けられ、差別されたり、孤立したり、貧困に陥ったりすることなく、安産に安心して暮らすことができる
  9. 働くこと、また、だれかと家族になること、親になることに、夢や希望を持つことができる社会である。

発達支援・環境設定

1.発達支援の基本

  • 子どもの「できること」「やりたいこと」を尊重する
  • 成長段階に応じた関わりを行う(年齢より“発達の段階”を重視)
  • 「できない」ではなく、「どう支えるか」を考える
  • 個々のペースに合わせて無理のない支援を行う

2.環境設定のポイント

  • 安心・安全な空間づくり
    転倒防止、誤飲対策、清潔な環境を保つ
  • 見通しが持てる環境
    玩具や活動場所を明確に区分し、子どもが自分で選び、遊びを見つけやすくする
  • 発達を促す環境
    興味を引き出す遊び・素材を用意し、挑戦できる機会を増やす
  • 静と動のバランス
    落ち着けるスペースと、体を動かせるスペースを分ける

3.保育者の関わり

  • 子どもの気づきや表現を丁寧に受け止める
  • 見守りと支援のバランスを大切にする
  • 言葉かけは肯定的に、安心感を感じるトーンで
  • チームで共有し、個別支援計画につなげる

私どもJALAは、子どもたちの健やかな成長を支えるために、私たち保育者一人ひとりが、知識と実践を結びつけ、日々の保育をより安全で温かなものにしていくことが大切だと思っております。今後も保育現場での学びと連携を支援し、安心できる保育環境づくりに貢献してまいります。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。