【お役立ち情報】レクリエーションの紹介・運動

レクリエーションの紹介・運動系

施設で行われているレクリエーションのご紹介をさせていただきます。

運動系のレクリエーションは、身体機能を低下させない、また体のバランス感覚を維持し、転倒などの予防に役立ちます。実際に施設で行っている例なども挙げてご紹介いたします。

なぜ、体を動かすレクリエーションを行うのか?

1. 認知機能の維持・向上
運動すると脳が活性化され、物忘れ防止や認知症の予防に役立ちます。特に、リズム体操など、考えながらや歌を歌いながら体を動かす活動は効果的です。

2. 筋力やバランスの維持
歩行や転倒を防ぐには、筋力やバランス感覚が大切です。定期的な運動は転倒予防や日常生活の自立をサポートします。

3. 心の健康に良い
みんなで体を動かすと、気分が明るくなり、ストレス解消やうつ予防にもなります。笑顔が増えることも多いです。

4. 社会的つながりができる
一緒に体操やゲームをすることで、仲間ができて孤立を防ぐことができます。「誰かと一緒」が大きな励みになります。

5. 活動的な生活を維持
体を動かす習慣がつくと、生活がよりアクティブになります。生活の質(QOL)を高める効果もあります。

※「QOL」は Quality of Life(クオリティ・オブ・ライフ) の略で、日本語では「生活の質」「人生の質」と訳されます。身体的・精神的・社会的にどれだけ充実した生活を送れているかを示す指標です。

身体的レクリエーションの紹介

◎椅子に座ったままできる体操(ラジオ体操、タオル体操、ボール体操)

ラジオ体操(座位バージョン)

通常のラジオ体操を、椅子に座ったまま行います。上半身の動きが中心となり、肩まわり・腕・背中・胸を効果的に伸ばすことができます。
全身の血流を促進し、朝のウォーミングアップにも最適です。
現在では、テレビ体操を観ながら実施している施設もございます。

【 例 】

  • 両腕を大きく上下に振る(深呼吸)
  • 上体を左右に倒す(体側伸ばし)
  • 腕を前後に大きく回す(肩の運動)

タオル体操

タオルを両手で持って引っ張るように使います。タオルの抵抗で筋力強化ができ、肩こり予防にも効果的です。

【 例 】

  • タオルを頭の上で引っ張りながら上下に動かす(肩と腕の運動)
  • タオルを前に引っ張りながら背筋を伸ばす(姿勢改善)
  • タオルを足の裏にかけて足を伸ばす(太もも裏ストレッチ)

タオルの代わりに新聞紙を丸めて棒を作り、「棒体操」にもアレンジできます。

◎リズム体操(音楽に合わせ、歌いながらの体操)

現在、歌を歌いながら行える体操のDVDやYouTube動画が、高齢者施設の現場で広く活用されています。

実際に使用されている動画には、イスに座ってできる体操、全身を使った運動、口腔体操など、さまざまな種類があり、利用者の体力や目的に応じて選ばれています。

たとえば、デイサービスの現場で行われていた体操をもとに作られた動画では、イスに座ったまま無理なくできる動きや、歌を取り入れた口腔体操が収録されており、自宅でも手軽に取り組める内容になっています。

また、昭和の歌謡曲に合わせて動ける体操動画では、懐かしいメロディーとも自然と歌が口ずさめる構成になっており、参加者の気分転換にもつながっています。

◎昔懐かしい輪投げ・的当て・ボーリングなど

高齢者向けの「輪投げ」「的当て」「ボーリング」は、楽しみながら身体機能や脳の活性化を促すレクリエーションです。座ったままでも実施可能で、体力に自信のない方にもおすすめです。それぞれの活動に簡単な説明をつけてご紹介します。

① 輪投げ(わなげ)

床に置いた台や立てた棒に向かって、輪(軽くて持ちやすい素材)を投げるゲームです。

腕や肩の運動、手と目の協調性、集中力を鍛えることができます。得点制にすることで競争要素も生まれ、楽しみながら参加できます。

  • 椅子に座ってプレイ可能
  • 輪の大きさや素材は安全性を重視(柔らかい素材が理想)
  • 点数ボードを設けて、結果発表タイムを楽しむ

② 的当て(まとあて)

的に向かってボールやお手玉、紙ボールなどを投げるゲームです。

狙いを定めて投げることで、腕の運動だけでなく集中力・判断力・視覚認知もトレーニングされます。
的を大きくしたり、距離を変えたりして難易度を調整できます。

  • 的に点数を書いておいて、合計点を競う
  • 季節にちなんだイラストを的にして楽しさUP
  • 的に当たると音が鳴る仕掛けを入れても盛り上がる
  • チーム制にしてもOK

③ ボーリング(室内ミニボーリング)

ペットボトルなどで作ったピンを倒すゲームです。

軽いボールを転がすことで腕と手首の運動になり、下半身の安定も必要となるためバランス感覚の刺激にもなります。
転倒のリスクがないよう、座ったままでも十分に楽しめます。

  • ピンの数は5〜10本で調整可能
  • 倒れやすいように中に少量の水を入れたペットボトルが◎
  • チーム対抗にすると一体感やコミュニケーションが生まれます。

◎風船バレー

風船バレーは、高齢者が安全に楽しめるレクリエーションで、身体機能の維持や認知機能の向上、コミュニケーションの促進に効果的です。

風船を使ってバレーボールのように打ち合うゲームです。風船は軽くてゆっくり落ちるため、力やスピードを必要とせず、誰でも楽しめます。

チームを分けて対戦形式で行ったり、円になり、レシーブした数を声に出して数えたりしながら、記録更新を目指すなど、多様にアレンジができる、身体的レクリエーションです。

職員も参加して行い、床に風船が落ちないようにファインプレーをされる場面もみられます。その為、場所を広くあけ、衝突などがないよう、安全を確保して行います。

【 特徴と効果 】

  • 安全性:風船を使用するため、ケガのリスクが低く、安全に楽しめます。
  • 身体機能の維持:腕や肩を使うことで上肢の運動や体幹筋力の向上が期待できます。
  • 認知機能の活性化:風船を目で追いながら手で打つ動作は、動体視力や空間認知能力の訓練になります。
  • コミュニケーションの促進複数人で行うため、自然と笑顔や会話が生まれ、社交の場になります。

【 注意点 】

  • プレー前には準備体操で体をほぐしましょう。
  • 隣との間隔を十分に取り、椅子から立ち上がらないように注意します。
  • 車イスの方はブレーキを確認し、職員が適宜フォローします。

運動系レク・スポットライト!!

「静かで寡黙なMさんはレシーブの名手」(80代男性)

 Mさんはいつも足音もしないほど静かに歩き、日常生活も寡黙なMさんは一見レクリエーションとは関心がないように見えます。

実は、このMさんは「風船バレー」の名手なのです。円になり風船バレーが始まると、無理な体の動きはないのに、絶対に風船を床に落とさず、絶妙なレシーブをされるのです。その的確で正確なプレーに、まわりも思わず拍手。

誰もが驚く、「静かなる名プレーヤー」なのです。そんなMさんの姿に、最初は遠慮がちだった他の参加者たちも、「Mさんすごい!」「ナイス!」と声をかけるようになりました。自然と笑い声が増え、会話の輪も広がっていきます。

ある日、試合のあとにMさんがポツリと一言。「楽しいなぁ。これ好きなんだ。」と。
その言葉に、職員も、まわりの皆さんも思わず笑顔になりました。

「Mさん、なんでこんなに上手なんですか?」職員がふいに質問するとMさんは、少し照れたように笑って、ゆっくりと話し始めました。

「若いころね、町のバレーボールチームに入ってたんだよ。週に何回も練習して、試合にも出てたんだ。レシーブでボールを落としたことはなかったんだよ。」

それを聞いたみんなは、「へえー!」「だからあんなに正確なんだ!」と納得。

普段はあまり語られることのないMさんの過去に、思わず聞き入っていました。あの静かなたたずまいの背後に佇まいの奥に、そんな経験があったなんて・・・

Mさんの話をきっかけに、他の方も昔のスポーツや趣味の話をし始め、会話の輪がますます広がっていきました。

風船バレーは、ただ風船を追うだけでなく、その人の過去や個性をふわりと引き出すきっかけになることもあるのです。

そしてMさんのように、「静かな名手」がそっと輝く場所なのです。

私ども日本アメニティライフ協会の施設では、利用者様お一人おひとりが楽しく安全に過ごせるよう、環境づくりにも工夫を凝らしながらサービスを提供しております。

そして、それぞれの方が「輝ける場所」を見つけられるよう、常に心がけております。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。