【お役立ち情報】施設での生活・レクリエーションの効果

レクリエーションの効果

施設での生活におけるレクリエーションの効果

ここでは、介護施設でのレクリエーションはどんな効果があるか例に挙げてみましょう。

施設での生活・レクリエーションの効果

介護施設では、レクリエーションを行っていることが多いかと思いますが、介護施設での「レクリエーションの効果」とはどんな効果があるか例に挙げてみます。

介護施設でのレクリエーション活動には、入居者の心身の健康や生活の質(QOL)を向上させる多くの効果があります。以下に主な効果をいくつか挙げます。

1. 身体的効果

運動機能の維持・向上
軽い体操やゲームを通じて、筋力・柔軟性・バランス感覚を保つことができます。
体を動かす機会が減ると、筋肉量は減り続けてしまいます。

この状態をサルコペニア※といい、様々なデメリットを招きます。
筋肉は人間が生活する中で身体的・精神的・社会的にも支障が出てきます。その予防のためなるべく体を動かす時間を設けています。

転倒予防
バランス訓練や歩行練習を取り入れることで、転倒のリスクを減らす効果があります。

※サルコペニアとは?

サルコペニア(sarcopenia) とは、加齢や病気などが原因で、筋肉量や筋力が低下してしまう状態のことをいいます。言い換えると、筋肉が減って、体が弱くなってしまうこと状態を指します。

サルコペニアになるとどうなる?

  • 歩くのが遅くなる
  • 立ち上がるのが大変になる
  • 転びやすくなる(転倒・骨折のリスク↑)
  • 食事がとりにくくなる(飲み込む力も筋肉)
  • 寝たきりになりやすくなる

2. 認知機能への効果

認知機能活性化の具体的な効果

  • 認知症予防・進行の遅延
  • 特に初期~中期の認知症の方に有効。
  • 継続的な脳の刺激は、神経ネットワークの維持に寄与。
  • 集中力・注意力の向上
  • クイズや手作業は集中力を必要とし、脳の前頭前野が活性化が期待されます。
  • 言語・会話能力の維持が期待される。
  • 会話を含む活動で語彙力、言語表現力の維持をサポート。
  • 意欲の向上がみられる。
  • 楽しく成功体験を得られることで、参加意欲が湧く。(満足感と意欲の増強)

認知症の予防・進行抑制:脳トレ(計算・言葉遊び・しりとりなど)や手作業(塗り絵、折り紙)が、脳の活性化につながる。

レクリエーション 刺激される認知機能

内容の一例

クイズ・脳トレ 記憶力、注意力、判断力

漢字当てゲーム、間違い探し、しりとり

回想法 

長期記憶、言語機能

昔の写真を見ながら思い出を語る

手芸・工作

空間認識、計画力、集中力

折り紙、塗り絵、編み物
音楽療法

記憶、情動記憶、言語

懐メロを歌う、リズムに合わせて手拍子

ゲーム(アナログ) 判断力、協調性、注意力

カルタ、トランプ、ビンゴ

運動レク
空間認識、注意力、反応速度 ボール投げ、風船バレー、体操ゲーム

3. 心理的効果

孤独感の軽減・社会的つながりの強化

高齢者施設に入居すると、家族や友人との接点が減り、孤独感を抱きやすくなりますレクリエーション活動を通じて他者と交流することで、「孤立感」や「寂しさ」が和らぎます。
グループ活動は「所属感」や「仲間意識」を生み、心理的な安心感に繋がります。

自己効力感の向上

手芸、音楽、ゲームなどを通じて「自分にもできる」という成功体験が得られると、自尊心や自己効力感が高まります。
「やり遂げた」「みんなに褒められた」などの経験が、自己肯定感の維持・回復に役立ちます。

ストレスや不安の軽減

音楽療法、園芸療法、動物介在療法などは、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を減少させる効果があります。
笑いやリラックスが生まれることで、うつ状態の予防や改善にもつながります。

時間の充実感・生活のメリハリの創出

毎日が同じように過ぎると、無気力や抑うつ感に繋がることがあります。レクリエーションが日常の中に「楽しみ」「期待」をもたらすことで、生活にリズムと意味が生まれます。

感情表出の促進と情緒の安定

アート活動や音楽、回想法などは、抑圧されがちな感情を安全に表現する場になります。感情を外に出すことで、内面の緊張が緩和され、情緒の安定が促されます。

4. 社会的効果

コミュニケーションの促進

他の入居者や職員との会話や交流が増え、孤独感の軽減につながります。集団活動を通じて、社会的な役割意識を持つことができます。

5. 生活の質(QOL)の向上

QOLとは「その人らしく生きること」「満足感のある生活を送ること」です。

単に「健康」や「長生き」だけでなく、

  • 心の健康(精神的な安定)
  • 社会的つながり(人との関わり)
  • 日々の楽しみや充実感
  • 自分らしさ・自立感
  • といった“生きがい”や“幸福感”を含んだ広い概念です。

レクリエーションでQOLを高める工夫ポイント

  • 「その人らしさ」を大切にする
  • 過去の職業・趣味・価値観に寄り添う内容で。
  • 強制しない・選択の自由を尊重する
  • 「やりたい」気持ちがあることが何より大事。
  • “できること”に着目して役割をつくる
  • 準備係、見本係、拍手係などの「役割」で自信を持っていただけるようにポジティブなフィードバックを心がける
  • ポジティブなフィードバックを心がける

できたことをしっかり褒めることで、次の意欲に

レクリエーションは、日常生活にメリハリが生まれる日々の楽しみや刺激となり、生活への意欲を高めます。

6.季節感や見当識を意識できる

介護施設で室内での生活が中心になると、気温の寒暖差を感じる機会が少なくなり季節感や今の時間が何時くらいなのか、朝なのか昼なのか夜なのかの見当識が薄れてしまいます。

「季節感のあるレクリエーション」とは?

高齢者が 四季の移ろいを感じられる活動 のことです。

例えば、

桜や菜の花にまつわる工作、花見ごっこ、春の歌

七夕飾り、うちわ作り、盆踊り

紅葉の貼り絵、収穫祭、秋の味覚クイズ、室内運動会

お正月遊び(福笑い、かるた)、クリスマス会、雪に関する折り紙やちぎり絵

見当識とは?なぜ大事?

見当識(orientation)、以下の3つの認知機能を指します。

見当識の種類 内容

 例

時間の見当識 日付・季節・時間帯がわかる

「今日は何月何日?季節は?」

場所の見当識

自分がどこにいるかがわかる

「ここはどこ?」

人物の見当識

自分自身・周囲の人がわかる

「自分の名前、家族の名前」

このうち「季節感を感じること」は、時間の見当識の維持に強く関係しています。

季節感 × 見当識 に効果的なレクリエーション例

季節 活動内容         

活動内容         

桜の貼り絵、春の歌(「春が来た」など)

「春」を思い出し、季節を認識

七夕の短冊作り、金魚のうちわ作り

日付、イベントへの記憶結びつけ

紅葉の塗り絵、秋の味覚クイズ

視覚や味覚の季節感、食文化の記憶喚起

かるた・お正月遊び、雪の工作   

正月の伝統行事、冬の風景を想起

 

季節感やイベントの体験:季節行事(お花見、夏祭り、クリスマスなど)を取り入れることで、季節の移り変わりを感じられます。

定番レクリエーション例

1. 体操・運動系

椅子に座ったまま体操(チェアエクササイズ)

ラジオ体操、タオル体操、ボール体操、棒体操など

輪投げ、ボウリング、風船バレー

太極拳、リトミック体操など

2. 脳トレ系

しりとり、漢字クイズ、間違い探し

計算問題、昭和の出来事クイズ

なぞなぞ、歌詞の続きを当てるゲーム

3. 手先を使うクラフト系

折り紙、塗り絵、ちぎり絵

季節の飾り作り(ひな祭り、七夕、クリスマスなど)

簡単な編み物や布細工

4. 音楽・芸術系

カラオケ、歌唱レク、ハンドベル演奏

懐かしの音楽を聴く回想法

絵画や書道体験

5. 季節イベント系

お花見、夏祭り、ハロウィン、クリスマス会

餅つき、お月見、七夕祭り

誕生日会、敬老の日の感謝イベント

レクリエーションを行う上でのポイント・工夫

安全第一! 転倒や体調変化に注意。

参加しやすい雰囲気づくり
「やらされてる感」より「一緒に楽しむ」空気を。
また無理に参加を促すのは逆効果になる場合があります

役割を持ってもらう
準備や進行の一部を担ってもらうことで、やりがいが増します。
例えば、紙風船で行う風船バレーでは、紙風船をふくらまして貰う、また棒体操等は新聞紙を棒状に丸めてテープで止め棒をつくってもらうなどを行っています。

昔の経験や好みを活かす
元教師にはクイズ出題、裁縫が得意な人には布細工など。

少人数 or 個別でも多様に
大人数が苦手な方も、個別レクで楽しめます。

レクリエーションは単なる余暇の過ごし方ではなく、身体的にも脳の活性にもまた精神的要素にも働きかけができる活動です。

私ども日本アメニティライフ協会の施設では、それぞれの施設の特性を持ちながら、利用者様に生活の質の向上(QOL)を目的とし、レクリエーション活動を行っております。身体的にも精神的にも効果があり楽しく活動的に行えるレクリエーションを提供できるよう各施設で行っている活動を、今後紹介をしてまいります。

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。