【お役立ち情報】献立の工夫と高齢者の栄養摂取

献立の工夫と高齢者の栄養摂取

介護施設のある日の献立をご紹介

ここでは、日本アメニティライフ協会の介護施設のある日の「3食の献立」を紹介してみます。

介護施設における栄養管理のポイント

高齢者が健康に生活を続けるには、低栄養にならないように、適切な栄養摂取が必要です。

☀朝食
ご飯/あおさのみそ汁/玉子焼き/ブロッコリーのソテー/白菜と豚肉の含め煮

☺昼食
ご飯/お麩のみそ汁/さばの味噌煮/筑前煮/青菜とカリフラワーのおひたし

★夕食
ご飯/豚汁/焼き魚・ほうれん草の白和え/ちくわと野菜の炒め煮

メニューは管理栄養士による監修によって栄養バランスが取れたものとなっており、高齢者の方が必要な栄養素を積極的に取り入れられるようにしています。

また、四季を感じさせる料理や旬の食材を取り入れながらも栄養をしっかりと取れるよう工夫されています。また、和洋折衷で様々な組み合わせの料理を楽しみながら召し上がっていただくよう工夫しております。

高齢者の低栄養を防ぐ栄養素

  • たんぱく質:筋肉量維持や免疫力向上に重要(肉、魚、大豆製品など)
  • カルシウム・ビタミンD:骨粗しょう症予防
  • ビタミン・ミネラル:免疫力アップや内臓機能の維持に不可欠
  • 食物繊維:便秘予防
  • 水分:脱水を防ぐために積極的な摂取が必要

高齢者は食事の栄養の取り込みや、食欲が低下する方も増えてまいります。

その為「少量でも栄養価の高い食事」が重要です。

高齢者の栄養状態チェックリスト(自己・職員評価用)

(チェック項目  〇 ✕)

  • 最近 体重が減った(6か月で2〜3kg以上)      
  • 食欲がない・食事量が減っている
  • 食事の時間が長くなり、途中で疲れて食べきれない  
  • 食事を残すことが増えた(主食や主菜を中心に)
  • 噛みにくい/飲み込みにくいと訴える
  • 便秘や下痢が続いている(腸の不調)
  • 水分をあまり摂っていない/口の渇きが気になる
  • 以前より元気がない、動かない、眠りがち 
  • 筋肉や皮膚の張りが減った、痩せた印象
  • 低栄養の診断を受けた/経口補助食品を勧められた
  • 褥瘡(床ずれ)や傷が治りにくい 
  • BMIが18.5以下(やせ型)

≪判定の目安≫
〇が0〜2個 → 特に問題なし(今後も維持を意識)
〇が3〜5個 → 栄養が不安定になっている可能性(食事の工夫や医療職に相談を)
〇が6個以 → 要注意!栄養リスクが高い状態(医師などの評価を受けましょう)

補足:チェックリスト活用のポイント

定期的(月1〜2回)に評価すると、変化に気づきやすくなります。
食事記録と組み合わせると、原因特定がしやすくなります。

気になる項目がある場合は、医師・看護師・歯科医師(口腔機能)などの医療従事者や施設などとの連携が有効です。

チェックの結果〇が多かった場合には低栄養が進んでしまっている場合があります。

下記に挙げる対策を取り入れてみましょう。

対策1「食べにくさ」に合わせた調理でサポート

  • 飲み込みづらい →とろみ・ペースト食・ムース食に
  • 噛めない→やわらか食・刻み食・煮物中心に
  • 義歯の不調・口の乾燥 → 歯科や口腔ケアのチェック!

対策2 栄養補助食品(ONS)を活用する

  • 「食事だけでは足りない」と感じたら、市販の栄養補助食品(ドリンク・ゼリータイプ)の栄養補助食品(ONS)を検討してみましょう。
  • おやつ代わりに飲む(無理に置き換えない)
  • 好みの味を選ぶと続けやすくなります。
  • 医師に相談すれば、栄養状態や状況により処方されることもあります。

対策3 専門家に相談してみましょう。

  • 管理栄養士→食事の見直し・献立作成のプロ(在宅介護の場合)
  • 医師 →栄養状態の検査(血液検査・体重測定)
  • 歯科医・言語聴覚士 → 嚥下・口の問題をチェック

こんな変化があったら要注意!

  • 最近体重が減った(2〜3kg以上)
  • 主菜(肉・魚・卵)をあまり食べていない
  • 食事中に疲れて食べきれない
  • おやつや水分もとらない
  • 以前より表情が乏しい、活動量が減った

こうしたサインが続いた場合“低栄養リスク大”です!早めの対策を始めましょう。

しっかりと栄養を摂取するための 献立のポイント

  • ✿季節感を大切にす

二十四節気※の時期に合わせて献立に取り入れます。

行事食(お正月、ひな祭り、土用の丑など)を取り入れて食事を楽しみになる工夫をしています。また、栄養価と風味の良い、旬の食材を取り入れて献立にいかしています。

  • ♥やわらかく、食べやすい調理

噛む力や飲み込む力に応じて食事形態を調整(常食、きざみ食、ペースト食など)し、しっかりと栄養を摂取し安全に召し上がっていただく工夫を施設側だけではなく関係者(医療従事者)と連携を取り、健康を維持できる工夫もしています。

調味料や調理法で風味や彩りを工夫し「見た目のおいしさ」も大事にしています。

  • ♣バリエーションと楽しさ

メニューが偏らないように主菜や副菜を組み合わせ、食べることに楽しみを持ってもらえるよう、テーマ食(例えば旅行気分の「北海道フェア」など)をメニューに盛り込み楽しんでいる施設もございます。

また、日本には四季だけではなく、二十四節気という季節の区分があります。

私ども日本アメニティライフ協会の施設では日本ならではの四季という季節感やの日本古来の風習などにも目を向けて、お食事を提供しています。

それが、「二十四節気」です。

ニ十四節気とは?

日本の季節感や農業、食文化、暮らしのリズムに深く根ざした大切な暦のひとつです。「二十四節気」とは、1年を24の季節に分けた暦(こよみ)のことです。

古代中国で生まれ、日本には奈良時代に伝わり、今も農業・行事・食生活などに影響を与えています。

太陽の動きをもと、春分・夏至・秋分・冬至などを含む1年の「気候の節目」を24等分にしています。現代の太陽暦(グレゴリオ暦)に当てはめると、約15日ごとにひとつの節気が訪れます。

二十四節気一覧(代表的な意味を添えて)

節気 時期(目安)     時期(目安)    
立春
(りっしゅん)
2月4日頃

春の始まり

雨水
(うすい) 
2月19日頃

雪が雨に変わり、草木が芽吹き始める

啓蟄
(けいちつ)
3月5日頃

冬眠していた虫が目覚めて動き出す

春分
(しゅんぶん)
3月20日頃

昼と夜の長さがほぼ同じになる

清明
(せいめい)
4月4日頃 すべてのものが清らかで生き生きとする頃

穀雨

(こくう)

4月19日頃

穀物を育てる恵みの雨が降る

立夏
(りっか)
5月5日頃 夏の始まり
小満
(しょうまん)
5月20日頃

草木が茂り、万物が満ち始める

芒種
(ぼうしゅ)
6月5日頃

稲や麦などの穂が出る植物をまく時期

夏至
(げし)
6月21日頃    

昼が最も長くなる日

小暑
(しょうしょ)
7月7日頃

暑さが本格化し始める頃

大暑
(たいしょ) 
7月22日頃

一年で最も暑い時期

立秋

(りっしゅう)

8月7日頃

秋の始まり

処暑
(しょしょ)
8月23日頃

暑さがやわらぎ始める頃

白露
(はくろ)
9月7日頃 朝露が白く見えるようになる
秋分
(しゅうぶん)
9月23日頃

昼と夜の長さが同じになる

寒露
(かんろ)
10月8日頃

露が冷たくなり始める

霜降
(そうこう)
10月23日頃

霜が降り始める

立冬
(りっとう)
11月7日頃

冬の始まり

小雪
(しょうせつ)
11月22日頃    

雪がちらつき始める

大雪
(たいせつ) 
12月7日頃

本格的な雪の季節

冬至
(とうじ)
12月21日頃

昼が最も短くなる日

小寒
(しょうかん))
1月5日頃

寒の入り、寒さが増してくる

大寒
(だいかん
1月20日頃

一年で最も寒い時期

二十四節気の暦としての役割・現代での活用

  • 農業:種まきや収穫などの目安
  • 季節感:俳句や茶道、和食など日本文化にも深く関わる
  • 行事との関連:節分(立春の前日)や土用などと結びついています。
  • 健康管理や暮らしの知恵:食材の旬、衣替え、季節の養生に活用
  • このような日本の文化を大事に思い、食事に取り入れています。

私ども日本アメニティライフ協会では、毎月定期的に体重などの測定を行い、その他月2回の往診でも健康管理のための検査等を行い栄養状態の確認をしております。

様々な工夫をする中で、利用者様の栄養状態に変化が現れた際には、医師など医療従事者や専門家との連携を取り、健康にお過ごしいただけるよう心がけております。

この記事の執筆者

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。

この記事は薬剤師に監修されています

合同会社Sparkle Relation
代表 小林輝信

北里大学薬学部卒業
【資格】
認定 薬剤師/介護支援専門員/iACP認定/MBA/

【所属団体】
一般社団法人全国薬剤師・在宅療養支援連絡会(J-HOP)会長
一般社団法人日本アカデミック・ディテーリング研究会 理事
日本老年薬学会所属
日本服薬支援研究会所属