【お役立ち情報】介護施設の食事事情

介護施設の食事事情

安心・安全・健康なお食事を提供しています。

高齢者人口の増加に伴い、介護施設の需要が高まっています。一方で、光熱費や原材料費の高騰により、介護施設の食事提供に影響が出ています。

物価の高騰で介護施設の食事提供にも影響

一般家庭においても、2024年ごろから電気代の値上げや物価全体が上がり始め、お米や食材も高騰し、影響を感じている方も多いのではないでしょうか?

これは、一般家庭だけでなく介護施設においてもこの影響は同様で、多くの介護事業者もその渦中におります。光熱費や物価の値上げで、規模を縮小する、または利用料金の値上げなどを行う、中には事業を他社に譲渡するなど苦しい策を取らざるを得ない事業者もみられます。

コロナの感染で食のあり方が変化

また、2019年より感染が広まったコロナ(COVID-19)も食のあり方が変化した一つの要因となっています。

2020年の緊急事態宣言以降、ソーシャルディスタンスの概念が広がり、会食など機会が減少しました。飲食店は営業自粛や時短営業を余儀なくされ、業界全体が大きな打撃を受けました。

働き方が変わって在宅ワークが増えたり、学校の休校で給食がなくなったりしたことで、使われなくなった食材が捨てられるケースが増え、フードロスの問題が深刻になりました。
こうした変化は、私たちの暮らしや社会・経済にも大きな影響を与えました。

このような状況下でも、私ども日本アメニティライフ協会の施設では、安全で美味しい食事を提供するため、流通管理を徹底し、材料の安定供給を確保することで、常に変わらぬサービスを提供し続けています。

安全で美味しい食事を提供

ここで、介護施設における食材提供方法をご紹介いたします。

  1. 食材宅配(購入)を利用したお食事の提供
    ⇒宅配で届けてもらうか、購入するかをした食材をもとに職員が1から食事を作って提供するスタイル
  2. 完全調理済み食材を利用したお食事の提供
    ⇒詳細は後述しますが、完全に調理されたものが届き、それを提供するスタイル
  3. 調理業者への委託
    ⇒専門の厨房委託業者へ委託をし、その厨房委託業者が作るスタイル
  4. 自炊
    ⇒居室に備え付けのキッチンで利用者自身が調理を行うスタイル

「完全調理済み急速冷凍食材」とは

「冷凍」と聞くと電子レンジであたためてお弁当に詰めるイメージがあるかもしれませんが、この「完全調理済み急速冷凍食材」はたくさんの利点があり、おいしさも安全も守られた食材なのです。

  • 専門家の監修のもとに味付けや加工を行っています。
  • 安全検査基準を満たした衛生管理の環境が整った工場で作られています。
  • 材料の特質を活かし、また安全に食べることが出来るよう魚は骨をきれいに取り、肉は筋を取り、硬さなども高齢者の方でも噛みやすく飲み込みやすく調理されています。
  • 塩分も1日約6グラムと、塩分控えめにされています。
  • 味はしっかりと独自のだしを使い、塩分控えめや薄さを感じさせない味付けにしています。
  • メニューや献立は管理栄養士の監修の多種多様なメニューで飽きがこないよう工夫されています。お正月をはじめとして、行事食もご用意しています。
  • 出来立ての料理を急速冷却するため、出来上がったままの風味の味や歯ごたえが味わえます。特に時間がたつと歯ごたえが無くなってしまう、揚げ物や野菜のおひたしなども、出来立てのおいしさのまま召し上がれるため、人気メニューです。
  • 冷凍技術の進歩で、-18℃以下の温度で管理することで、細菌の繁殖を抑えると同時に、その食品の酸化や酵素反応などによる品質変化を抑制して、出来立ての品質を保つことができ、より安全かつおいしく召し上がることが可能です。

実は、コロナ以降注目を集めた有名レストランのお取り寄せグルメなどもこの製法を使い、出来立てで新鮮な味わいを提供しているのです。

手軽においしい食事を楽しめるだけでなく、フードロスやごみなども発生しない食材として、一般家庭や単身家庭などでも需要が上がっています。

介護施設においても、メニューも豊富で同じ水準の美味しい食事の提供ができることから、コロナ以降の需要が増加傾向のようです。

「利用者は食事をつくることはできない?」

認知症グループホームでは、「家にいるときのように、お父さんやお母さんに食事づくりをしてもらいたい」といったご家族のご希望をよくいただきます。

例えば、認知症グループホームではお米とぎやお味噌汁の味見をします。

小鉢などへの盛り付けなどは、衛生面に留意しながら職員と利用者で一緒に行っている事業所もあります。

また、行事食やおやつをレクリエーションの一環で作ることに一緒に関わり、作ったものを食べることも行っています。

好影響としては、職員が食事づくりにかけていた時間を利用者との関わりに時間をかけることが出来るようになります。

職員と共にお手伝いをしていただくことで、職員と利用者、また利用者同士のコミュニケーションも深まる一つのきっかけともなりうるのです。

「施設見学会」を実施

私どもの運営する介護施設では施設を開設する際に「施設見学会」を行っております。

その際に試食をしていただくことがありますが、そこでのお客様の感想を少しだけ、ご紹介させていただきます。

・味が薄いかと思ったら、しっかりとした味付けでおいしかった。

・煮物や焼き魚などのイメージがあったが、唐揚げやコロッケなど揚げ物もありメニューが豊富だと思いました。

・お肉なども柔らかく、高齢者でも食べやすい食材が安心できました。

・厨房から食事の用意の際のにおいがふわっとして来ました。家庭的な雰囲気を感じてよかったです。

・思ったよりもボリュームがあったと感じました。

・メニューを見て、和洋折衷バランスよく食事が出来そうだと思いました。

おいしい食事のひみつ

私ども日本アメニティライフ協会の施設でご提供しておりますお食事は、プロの料理研究家により監修されています。

毎日ご提供するお食事だからこそ、飽きることなく常においしいお食事を楽しんでいただけるよう、味と素材にこだわりを持ったお食事を提供しております。

また、高齢者向けのお食事ですので、塩分は控えめに調整をしつつ、しっかりとした味わいをお楽しみいただけるようこだわりをもった監修いただいております。

特徴の一つは、独自のだしです。このだしをしっかりと効かせることにより、塩分を控えても物足りなさを感じず、しっかりとした味わいが実現されます。

だしにも原材料へのこだわりが詰まっており、各地から厳選された食材を使用した加工調理をしていただいております。

いちばんおいしい状態で調理

魚はうろこや骨がきれいに取り除かれ、肉も筋が切られるなど、食べやすくするための加工がされています。

それぞれの食材に合った調理法が工夫されていて、食感を大切にしながら、おいしく安全に食べられるようになっています。

また、野菜なども高齢者の方が咀嚼しやすいように、それぞれの食材が「一番おいしい状態」に加工調理されております。

旬の食材はよりおいしくメニューに

旬の時期に旬の食材を取り入れたメニューが多くなっています。
「旬」の食材は、口においしいだけでなく、より高い栄養価となっています。

野菜は、葉が柔らかくなり、香り高く仕上げられ、魚も旬を迎えることで脂がのり、身がしっとりとした触感が味わえるよう調理されております。

旬の食材を取り入れることは、日本の四季を感じることにもつながると考えております。

こだわりを持った調理方法

実際に食卓に並ぶ一品一品には、細部にわたるこだわりがあります。

たとえば、焼き物はしっかりとした焼き色と香ばしさが引き出され、煮物は柔らかく仕上げられる一方で、煮崩れが防がれるよう調理されております。

じゃがいもやカボチャなどは、ほくほく感を損なわず、食材のおいしさが最大限に引き出されるよう工夫されております。

そして、温かい料理は温かいまま、冷たい料理はひんやりとした食感が楽しめるよう、丁寧に仕上げられております。

五感で味わえる仕上がり・揚げ物サクサク食感

「野菜や生ものは新鮮さが、揚げ物はサクサク感が命です。」

かつてはお惣菜の揚げ物は、食べる頃にはしんなりしているという印象がありましたが、当施設の食材は、揚げたてをすぐに急速冷凍されているため、温めるだけでサクサクとした食感が実現されております。

さらに、そのサクサク感は長時間にわたって維持されるため、ゆっくりとお食事を召し上がる方にも変わらぬ食感が楽しめます。

特に人気の唐揚げは、鶏肉にしっかりとした筋切りが施され、秘伝のたれで味付けされた一品となっております。

コロッケも衣がサクサクとした仕上がりで、多くのお客様にご好評をいただいております。

味付けも「甘い」「辛い」「酸っぱい」「塩っぱい」などの味付けで味に変化を付け、お食事で五感を刺激できる工夫がされています。

多様な味付けにより、食欲も進み、食事量も安定することにつながります。

毎日食べるお米にもこだわりを

おいしいの声

実際においしい食事を召し上がっている利用者様の声を紹介したいと思います。

♠入居まで夫婦二人暮らしだったご夫妻「いい塩梅」

入居を控えていた時は、夫婦二人暮らし、量もそれほど食べるわけでもないので、出来合いのお惣菜で済ませていたりしていたけれど、家であたためても出来立てにはほど遠かった。介護施設の食事は味が薄いというイメージがあったから口に合わないかと思っていたら、これが温かいうえに、味もいい塩梅でおいしさにびっくりした。ラーメンやうどん、そばなんかは、外に出かけないと食べられないかとおもったら、時々昼ご飯に食べられるのも、うれしい。(夫・80代)

うちの主人はかぼちゃの煮つけや野菜の煮物が好きだったんですよ。「お前が作る煮物が一番うまい」と料理をほめてくれた主人のために作ってあげたい気持ちはあったけれど、夫婦二人だと材料もあまってしまうし、長い時間、火を使うのも心配だったので、だんだん家では作らなくなってしまって。ここのかぼちゃの煮つけを食べて「うまいな~」と主人も満足して食べていると、ちょっぴり寂しい気持ちもあるけれど、こんなおいしい「いい塩梅」を毎日食べられて、幸せです。(妻・80代)

♠「いいにおい」が時計がわりの認知症の女性のご入居者

私は、夜中に昼だと思って起きてしまうことが時々あるんです。職員さんに「まだ夜中ですよ」と周りを見渡すと、「あら、真っ暗だわ」と思うの。ほんとに年を取るって嫌だわね。でも、食事の時間はわかるのよ。御飯が炊けるにおいと、おかずのにおいがしてくるから。今日はお魚かしら?と思ったら、ちょうど朝7時だったり、あら、カレーのにおいがするわと思ったら、お昼前だったり。おいしそうなにおいは、私の時計がわりなの。今はいろんなことを忘れてしまうことも増えたけれど、においって忘れないものね。時々、昔作っていた料理を思い出したりするの。でも、作り方は・・・思い出せないところがあるの。やっぱり年のせいかしら?
(80代女性)

この記事は介護福祉士に監修されています

介護福祉士
青木 いづみ

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。