特殊浴槽
介護施設の特殊浴槽とは、歩行困難な方や重度の障害者が負担なく入浴できるよう設計された浴槽です。

特殊浴槽は、介護施設、病院、身体障害者施設などに設置されています。
私ども日本アメニティライフ協会の施設、介護付有料老人ホームの「花珠の家」、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅の「福寿」、「療養センター」の多くの施設には特殊浴槽を設置しております。
特殊浴槽の種類
特殊浴槽には、次のような種類があります。

座位特殊機械浴槽
座位がとれる方を対象とした浴槽

特殊機械浴槽
麻痺や拘縮がある方でも
寝たままの状態で入浴できる浴槽
特殊浴槽では、専用のストレッチャーや椅子に乗車したまま身体を洗うことができ、洗身後は他に移乗することなく浴槽に入れるため、移乗時のストレスが軽減できます。
特殊浴槽の目的

ここで入浴の目的を詳しく説明いたします。
特殊浴槽での入浴を必要とする利用者様は、活動量が少なく、座位やベッドでお過ごしすることも多く、また紙おむつ等を使用している方が多くおられます。

高齢者の方は特に皮膚も乾燥しがちです。体位交換などを行っていても、身体を動かす際に衣類の摩擦やシーツのしわなどで皮がむけたりや褥瘡が発生しやすくなります。

紙おむつを使用されている方は、交換時にきれいに清拭し保清を保っていても、皮膚トラブルを起こす方もいらっしゃいます。
皮膚トラブルからできた小さな傷も菌などが感染することで重症化に繋がります。重度化すると全身症状となる敗血症などになる場合もあり生命に関係する場合もあります。
特殊浴槽で入浴いただくことで、安全で楽な体勢でお湯の中に浸かり血行を促進し、洗髪や洗身を行い清潔に保つことが出来ます。
特殊浴槽の目的
特殊浴槽を使われる方の多くはご自身で自由に動くことが難しい方ですので、入浴の際には、自立している方以上に配慮が必要です。
特にストレッチャー式の特殊浴槽(寝浴)で入浴する方は、服を脱いで寝台に横になった状態で入浴しますので、羞恥心への配慮も大切がです。横たわる際にタオルをかけるなどして入浴いただきます。
また、特殊浴槽での入浴でも、出来ることはご本人に行っていただくようにしています。

例えば、顔や胸、お腹などご自分の手が届く範囲はご自身で洗っていただくよう促します。
また、入浴をする際に必要な動作もお声掛けをしながら可能な限り行っていただきます。
利用者様に※協力動作を行っていただくことで、介護側の職員の負担も軽減され、利用者様の残存機能の活用にも繋がります。
※協力動作とは、特に介護や医療の現場において、利用者が自立した動作を支えるために、介助者が行う部分的な支援のことを指します。これは、完全な介助(利用者が全く動けない場合に全てを補助する)とは異なり、利用者の「残存能力」を活かしつつ、自力では難しい部分のみを補う形で行われます。
入浴後に行う事
- 医師の指示による軟膏の塗布やガーゼの貼り換え
- 皮膚の保湿
- 爪切り



特に爪切りは、入浴後の爪が柔らかくなるため切りやすいということもあり、更衣や薬の塗布と合わせ、行っております。ただし巻き爪など外科的処置が必要な方は医療従事者が行います。
特殊浴槽でご入浴をされる方は、ご自身でお体を動かす機会が少なく、同じ体勢でいることで、部位により血行が悪くなっている場合があります。全身をくまなく温めることで血行を促進し、褥瘡やむくみの対策に役立てております。
また、お元気な方も、介護が必要な方も、安楽な体勢、楽しく、リラックスの時間をご提供できるよう、安心安全な入浴サポートを行っております


この記事は介護福祉士に監修されています

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。
介護福祉士
青木 いづみ