【お役立ち情報】入浴

入浴

入浴の回数は介護保険法によって定められているものが基準となっています。

日本アメニティライフ協会の施設では、週2回以上を基本として入浴をしていただいております。

入浴の目的

入浴の目的は、まずは身体の保清であり、感染症の予防でもあります。

保清は、肌や頭髪を清潔にすることです。

感染症の予防は、身体についた菌を洗い流すことが目的ですが、風邪などのウィルスだけでなく、身体に残すだけで特に皮膚を通して起こる感染症の予防、繁殖をおこして起こる感染症の予防です。

そして、新陳代謝を活発にすると共に血流をよくし健康促進に繋がります。

入浴の際の注意点

利用者様の中にはお元気な方も多くいらっしゃいますが、入浴は足場が水場で滑りやすい点もあり、自立の方であっても、必ず見守りをさせていただいております。

また、どんな利用者様でも、次に挙げる注意点に留意し入浴を行っていただいております。

  • 体調の悪い時は無理をしない
    バイタルチェックも参考にしますが、顔色や表情が優れに時やなんとなく体調が悪そうな様子やご本人から体調不良などがある場合は入浴を控えるようにしています。
    入浴中に訴えが出てきた時には状況に応じて対応し、なるべく手短かに対応し経過観察を行います。必要であれば、かかりつけ医等に相談をします。
  • 安全第一で準備を行う
    一般的にはお風呂での事故は意外と多いものです。水場ですので水で濡れているだけで床は滑りやすくなっています。掃除を念入りにするだけでなく、滑り止め用マットなどを敷き、その他入浴用の介護用具などを使い、安全に入浴していただくことを心掛けています。
  • 変化に気づく
    入浴時は体の変化を気づけるタイミングでもあります。入浴時には普段洋服の上からでは見えない背中・お腹・臀部・上腕・大腿部などの観察ができます。実は搔きむしりや湿疹、アザ、その他皮膚の乾燥状態などは入浴時の発見が多いのです。
    また「この傷は、何か覚えなないですか?」や「痛みはないですか?」など、コミュニケーションを取りながら確認をしています。もちろん、痛みがある場合や可能などが見られる際には、記録に残し、かかりつけ医に相談しています。
  • お一人お一人の尊厳を大切に接する
    入浴では、羞恥心から「人に裸を見られたくない」とおっしゃられる方も当然にいらっしゃいます。その場合はその方の尊厳を大事にし、なるべく出来るところはご自身で行っていただき、ご本人が気にならない程度にそっとドアから覗いて様子を見る、また「お湯加減は大丈夫ですか?」「もうそろそろあがりますか?」などの声を掛け、ドアの外では何かあった時のために、近くでお声掛けなどをしています。
    お着替えの時などもカーテンなどがある場合はご本人が気にならない様に配慮しながら見守りをいています。また、入浴に介護が必要な方に対しての配慮も自立の方以上に必要です。

入浴は、清潔を保つだけの目的ではありません。利用者様も人に肌を見せるわけですから、信頼感がなければ、入浴を任せていただけません。

その為コミュニケーションを図り楽しみな時間になるように工夫しましょう。

お風呂の入浴は苦手でも、シャワーなら入るとおっしゃる方もおられます。日本アメニティライフ協会の施設では、その方のご状況に合わせ柔軟に入浴介助を行っております。

入浴拒否を考える際のヒント

ご入居の検討をされている方のご家族からのご質問で意外に多いのが、
入浴の拒否関して、
「どのように対応したらよいですか?」
「施設ではどのように対応していますか?」
などがあります。

ここで入浴拒否を考える際のヒントを整理してみたいと思います。

「入りたくないには必ず理由がある!」のです。

以下の様な理由が隠されている場合があります。

【お風呂に入りたくない理由は?】

  • 体調不良(だるい、調子が悪いなど)
  • お風呂で以前に転倒したなど怖い思いをしたことがある。水が怖いなど
  • 熱いお風呂が嫌い
  • 洋服を脱ぐ時や入浴の際に痛みなどを感じる。
  • 湿疹や傷などがあり水がしみる
  • 裸を見られるのが恥ずかしい。
  • 面倒くさい、億劫に感じる など様々な理由があります。

元々お風呂嫌いな方もいらっしゃいますが、嫌いになった理由があります。また、高齢になってから嗜好が段々と変わってきた方もおられると思いますが、その場合は

ご自分の体が動きづらくなったり、ご自分のお身体の状態が環境に合わなかったりなどの理由で入浴自体が億劫に感じてしまっている場合があります。

また、急に入浴の拒否が始まったまたは拒否が強くなったという場合には、認知症の進行等で入浴自体を理解できなくなっているということもあります。

「なぜ?」を探し、「嫌だと感じるもの」を「楽しみなもの」に転換してお声掛けしてみてはいかがでしょうか?

入浴拒否を繰り返し続けたHさんのお風呂事情

「風呂?嫌だよ!」が口癖のHさん(男性80代)が入浴拒否

「なぜですか?」と聞いても「あんたに関係ないだろ!嫌なものは嫌!」気が付けば、何度誘導してももう何日も入浴を拒否して・・・そんなこともありました。
そしてあの手この手でお誘いしますが・・・お風呂の湯気を見て「やっぱり入らない」と、居室に戻ってしまいます。そして人を替え、言い方を替え誘い続けること、数日。
たまたま旅番組を観ていたHさんに、「Hさん、今日はニューヨークに行きますよ」と苦し紛れにお誘いしたところ、「ちょっといいところだから、あと10分待って」とテレビから目が離せないご様子でした。時間を見計らい再度声をかけると「うーん」と重い腰を上げました。
そして、エレベーターに乗り、ニューヨークならぬ入浴に向かいました。「なんだよ、ニューヨークじゃなくて、風呂か?!」苦笑いをされました。「そうです、にゅーよくです。あ、Hさん笑った!」思わず私は本音を言っていました。「なんだよ、ダジャレじゃないか・・・ま、いいか、今日は入るよ」「Hさんはお薬塗らないといけないから、お風呂はお嫌いでも入ったほうがいいんですよ」「えっ、俺、風呂は嫌いじゃないよ・・・」とHさんは洋服を脱ぎ始めました。
「いつも入らない、嫌なものは嫌って、いつもおっしゃってるじゃないですか?」「嫌だから嫌だって言ったんだよ、嫌いではないんだよ。俺の顔見るたびに朝から今日から風呂、風呂、風呂って言われたりするとな・・・俺は一番最後がいいのに、一番に入ってください!とか、入ってくれないと困るんです!とか言われたら、嫌とも言いたくなる。」「俺は九州で育った。九州は男が先に風呂に入るんだ。昔の風呂はさ、釜土の風呂だから、熱くてやけどしそうなのを我慢して入った。お前男のくせにこげんこと我慢できんと!って怒られた。だから一番風呂は嫌なんだ。俺はどちらかというと、ぬるい風呂にゆっくり入るのが好きなんだよ」
「では、今日のお風呂は少しぬるめにしましょうか?」出来るのか?」「はい、少し温度下げますね」とお伝えし、シャワーも温度を下げると、洗髪も洗身もいつも拒否されていたHさんがご自身で洗髪も洗身もされゆっくりとお風呂に入られました。Hさんは、無口であまり笑わない方ですが、その日のお風呂では笑いながらいろんなお話をしてくださいました。「ぬるめのお湯にしてほしいとなぜ今まで言われなかったんです?」「こげんこと頼み事はしたくない・・・九州男児やけんな」と苦笑いをしました。この後、Hさんとの会話の内容を共有し、お風呂誘導がスムーズになりました。

この記事は介護福祉士に監修されています

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。
サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。

介護福祉士
青木 いづみ