【お役立ち情報】バイタルチェック

バイタルチェック

日本アメニティライフ協会での施設では、毎日、朝夕のバイタルチェックを行っております。

バイタルチェックとは・・・脈拍や呼吸体温、血圧、意識レベルなどのバイタルサインを機器などで測定して、利用者様の健康状態を確認することです。

バイタルチェックを行う目的

バイタルチェックを行う目的は、利用者様の健康状態の把握と推移の確認を行い、測定時の異常が見受けられた場合は速やかにかかりつけ医への連絡を行い、指示を仰ぎ、必要に応じて処置を行い、介護記録等に記録を残します。

看護師が常駐しない施設でも日本アメニティライフ協会でのバイタルチェックは介護職員が行います。

「えっ?それは、医療に関する事なので
介護職員が行っていいんですか?」

「看護師が健康管理を行うのではないでしょうか?」

との質問をお受けすることもありますが、機器を使っての血圧、体温などの測定などは、
医療行為に準ずる基準※として、現在は認められています。

また、介護職員はいつも利用者様と顔を合わせているからこそ、気がつくことができる変化もあります。

※日本アメニティライフ協会の施設では24時間対応の在宅療養支援診療所と提携をしております。
※医療行為に準ずる基準とは、医療資格を持たない者(例:介護職員や家族など)が、医療的ケアを行う際に適用されるガイドラインや要件のことです。これらの基準は、安全性を確保し、患者に適切なケアを提供するために設けられています。

バイタルチェックの適正数値

【 血圧 】

血圧とは体内の血液がめぐる際に血管壁にかかる圧力です。
血圧には「最高血圧」と「最低血圧」があり高い、低いだけでなくバランスも関係します。
最高血圧は血管が収縮している際の血圧、最低血圧は血管が拡張している際の血圧です。

血圧の適正数値は、以下の通りです。

  • 最高血圧・・・120~130mmHg
  • 最低血圧・・・70~80mmHg

適正数値より高い血圧の数値を「高血圧」と呼び、特に中高年以降は高血圧の傾向です。
また、適正数値より低い血圧の数値「低血圧」と呼びます。

高血圧は、血管障害(脳梗塞や心筋梗塞)の病気の要因をなりうる為、注意する数値であります。

低血圧は貧血などの状態から起こることがあり、起立性低血圧による転倒、意識障害などを引き起こすことがあります。

血圧は環境要因でも数値の変動がしやすいため、高すぎたり低すぎる場合は、少し時間をおいてから再測定をし、体調に変化がないか様子観察も必要です。

【 体温 】

体温の適正数値は36.5℃です。概ね37.0℃を越える場合発熱とされることが一般的です。体温は、個人差が大きく、大事なことは個人の平熱を把握しておくことです。

例えば、36.5℃が平熱の方が、37.0℃の結果が出た場合は微熱程度ですが、平熱が35.5℃の方が、37.0℃を越えれば発熱でかなりの体調変化を感じます。

また、高齢者の方の体温測定では注意も必要です。腋下体温計は特にやせ形の方や認知症をお持ちの方はしっかりと測定できない場合があり、正しい数値が出ない場合があります。

コロナ(COVID-19(Coronavirus Disease 2019))期以降
特に、腋下体温計だけでなく、額や手首で計測できる体温計が増えましたので、日本アメニティライフ協会の施設では、それらを併用し、正しい計測を心がけております。

【 脈拍 】

適正な脈拍数は、1分間に65~85回とされています。
現在、介護施設ではデジタル血圧計に脈拍数を計測機能がついており、血圧と脈拍が同時に測定出来るものが増えています。

ただし、血圧が低すぎる場合、血圧計自体が計測出来ない場合があり、その場合は、手首にある橈骨(とうこつ)動脈で脈拍を測ります。
さらに橈骨で脈拍が測りにくい時はもっと太い動脈である頸動脈や鼠径部にある大腿動脈で計測する場合もあります。

ちなみに脈拍数が1分あたり50回未満の場合を「徐脈」、100回以上の場合を「頻脈」を呼びます。

それぞれ健康に影響を及ぼす可能性として異常値とされますが、高齢者の方は徐脈の方が多い傾向にあります。また、服用している薬などの影響で、徐脈または頻脈傾向に傾く場合がありますので、継続的に続く場合にはかかりつけ医に相談する事を推奨しております。

【 呼吸 】

呼吸は万が一、容体が急変した場合に一番初めに確認を行う「バイタルサイン」です。

まず、呼吸を細くてもしているか、呼吸から異音がしていないか、胸の動きに異変がないかを確認します。また、急変ではない状態でも、呼吸の異音や荒い口呼吸や肩が挙がるような呼吸をしていないかを確認をします。

【 意識の状態・その他脈拍 】

上記の4つに加えて、意識レベルを確認します。特にいつもと違う様子がないかを確認します。

普段に比べてボーッとしていたり、話しかけても反応をしない、言葉を発した時の話し方、手足や体の動き、顔色なども確認をし、しばらく様子を見ても継続的に状況が続く場合は、かかりつけ医に相談しています。

介護士が出来る医療行為の範囲

  • 体温計を用いた腋下などでの体温測定
  • 自動血圧測定器を用いた血圧測定(水銀血圧計は不可)
  • 酸素濃度測定器の装着(それに基づく判断は不可)
  • ガーゼ交換を含む軽微な擦り傷、切り傷、やけどなどの処置
  • 湿布の貼付
  • 軟膏の塗布(軽微なものに限る。床ずれ、褥瘡などの処置は不可)
  • 点眼
  • 服薬介助
  • 坐薬の挿入
  • 鼻腔粘膜への薬剤の噴霧の介助

規制対象外の介護士がおこなってよい行為

■その他、医療行為とされるものの規制対象外として介護士がおこなってよい行為

  • 耳垢の除去(耳垢塞栓の除去は不可)
  • 爪切り・爪やすり(巻き爪などのトラブルのある場合は除く)
  • 歯ブラシや綿棒を用いた口腔ケア(歯・口腔粘膜・舌など)
  • ストーマパウチに溜まった排泄物の廃棄
  • 市販の浣腸器を用いた浣腸 など。 

ただし、上記に挙げた行為は、利用者様の状況により、医療従事者が行う医療行為となる為、ご本人またはご家族の同意や医師による指示が必要になる場合があります。

また、トラブルがある状況やその他薬剤を使用する行為は指示の指示に従って行います。

この記事は介護福祉士に監修されています

母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。
サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。

介護福祉士
青木 いづみ