訪問理美容
月に一回、プロの美容師(理容師)が施設を訪問し、ヘアカットなど、訪問理美容を行っています。
ご本人様の髪や頭皮の清潔感を保つとともに、「美」に目を受けることで気分を転換させ、若返りのお手伝いをいたします。
理美容を整える効果について整理してみたいと思います。
自信を取り戻せます
身の回りの若返りや笑顔は脳の活性化に関係するだけでなく、心身ともに若返りをします。年齢を重ねても、「きれいですね!」、「素敵ですね!」と声をかけられることは、うれしいことでもあり、人によっては自信を取り戻されます。
カットをしたご自分の姿を見て「ちょっと着替えてくるわ」と髪型に合ったお洋服に着替える方や、お部屋に戻り口紅を塗るなどのお化粧をされる方もいらっしゃいます。
幸せを感じる機会作り
また、女性の利用者様などは化粧品ポーチの中を見ながら、カットの順番を待たれ、カットが終わるとお化粧直しをされる方などがおられ、女性はいつまでも女性であり、「美しさ」を意識されているご様子です。
女性だけではなく男性も「さっぱりしましたね」、「素敵ですね」と声を掛けられると、恥ずかしがりながらも、嬉しそうに「そうかい?」と笑顔になられる方がおられます。
鏡にご自分の姿を映し、カットしたばかりの髪型を直したり、洋服の首元などを整えるなど、「人からの見た目」を再認識される場面も目にします。
近年、幸せホルモンが注目されています。
幸せを感じることで分泌されるホルモンと言われ、精神を安定させ、脳の活性化に役立ち、やる気を与えるとされています。きれいになる事は幸せ感を感じる機会作りにもなります。
ご自分や人に対しても関心を持つようになります
特に入居前にお1人暮らしをされていた方などは、つい「美」や「人からの見た目」などに目をむけることを忘れてしまいがちです。
施設に入居しご自分やご家族以外の方々とひとつ屋根の下で生活をはじめ、周りの方の「人からの目」を感じることでご自分に意識を向けることや人に対して関心を持つことなどのよい変化が見られる方も多くらっしゃいます。
カット 2,100円~ /カラー 3,300円~ /パーマ 3,300円~
尚、訪問理美容では顔剃り、髭剃りは行っておりません。
< ご入居者様の声 >
奥様が亡くなられてからの数年間一人暮らしの間、ひげを伸ばし続けてしまったYさんが施設に入居をされました。
おひとりになられてから、ご自分の身なりを気にしなくなってしまったようです。ご家族様がどんな方法を考えても拒否をされ続け、入居前数か月は散髪も拒否をするようになってしまった方でした。入居後、入浴はしても洗髪も拒否されていました。
ある日、この施設に訪問理美容が訪問しました。ご家族のご要望でYさんのカットを承りましたが、ご本人様は「髪を切らなくても人には迷惑が掛からない、誰も死なない」とのお言葉。他の方は理美容を受けてスッキリしてきても無関心です。
その時です散髪を終えたある入居者様がYさんに「あんたもさ、そんな髪してないで、切ってもらえよ、サッパリするぞ、あの姉ちゃんがかっこよくしてくれるよ、俺みたいにさ」と笑いながら声をかけてくれたのです。
そこに、美容師さんがYさんに声をかけてくれました「絶対に、髪の毛切ったら素敵だと思うな、すぐ終わりますから、試しにすこしだけ切ってみませんか?」と鏡の前にYさんを連れて行きました。美容師さんが巧みな会話でYさんを怒らせることなく散髪を終え、フロアに戻ってこられました。
Yさんは別人のようになりました。ご本人もほかの入居者様や職員に「素敵!」と言われて、「そんなことねぇよ」とおっしゃりながらも顔には笑みが。その後、入浴でも洗髪を自らして下さるようになりました。もちろん、散髪も毎月行っていました。
そして、数年間伸ばし続けたひげは…2か月後施設近くの理容店できれいに剃ってもらい素敵な紳士になりました。
その日を境に、その「素敵な紳士」の姿がYさんの日常になりました。
この記事は介護福祉士に監修されています
母親の認知症をきっかけに、サービス業から介護の道へ転身。
サービス業で培ったコミュニケーション力と、介護職員や施設長としての知識や経験を活かし、入居相談員として家族が抱える悩みに寄り添っています。介護現場の視点、利用者目線、専門知識を基にした丁寧な相談を行っています。
介護福祉士
青木 いづみ