【お役立ち情報】口腔ケア

口腔ケア(歯磨きなどの食後のケア)

ご本人様がいつまでもお食事や日々の生活を健やかに楽しく過ごせるように、誤嚥性肺炎や口腔機能低下の予防に寄与する口腔ケアのサポートをしています。

食後の歯磨きなどの口腔ケアはとても重要です。歯磨きなどのケアを怠ることで虫歯や歯周病になるリスクが高くなります。また歯周病の原因菌が全身の健康に影響する病気を引き起こすリスクがあります。

口腔ケアの7つの目的

  1. 口腔内トラブルの予防
  2. 咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能の維持・向上
  3. 口腔の乾燥予防
  4. 味覚機能の向上
  5. 口腔ケアで全身の健康を守る
  6. 誤嚥性肺炎の予防
  7. 認知症の予防

1、口腔内トラブルの予防

口腔内トラブルが起きると、虫歯や歯周病によって痛みを生じます。また、入れ歯(義歯)が合わなくなってしまう可能性も出てきてしまいます。口腔内トラブルを防止するために口腔ケアは重要なケアの一つとなります。

2、咀嚼(そしゃく)や嚥下(えんげ)機能の維持・向上

咀嚼・嚥下機能が低下すると、食べ物がお口の中に残りやすくなり、誤嚥性肺炎を引き起こすリスクが高くなります。口腔ケアによって、口腔内を清潔にするだけでなく、お口周りの筋肉を刺激し、機能低下の予防にもなります。

3、口腔の乾燥予防

口腔ケアによって、唾液の分泌が促進し、口腔内が保湿される事で口の中の乾燥を予防します。加齢や服薬している薬の影響によって高齢者の方は口の中が乾燥しやすくなります。
乾燥すると、下記の様な影響が出てきます。

  • 口の中の汚れがたまりやすくなり、虫歯や歯周病にもなりやすい。
  • 口臭が気になる。
  • 味を感じにくくなる。
  • 入れ歯(義歯)が擦れて痛みが出やすくなる。

なお、乾燥が顕著な場合は口腔用の保湿剤を使用しケアを行います。

4、味覚機能の向上

舌に汚れがたまったり、口の中が乾燥したりしていると、味を感じにくくなったり、ピリピリした痛みを生じることがあります。味覚の減退や痛みがあることで、食べる意欲が低下したり、食欲が落ちたりしてしまっている方は口腔ケアを促すことで改善することがあります。

5、口腔ケアで全身の健康を守る

口腔ケアで歯周病を予防する事で全身の健康を守る事に繋がります。その理由としては、歯周病菌により様々な全身疾患を引き起こす懸念があるためです。下記に代表例を挙げてみます。

  • 誤嚥性肺炎
  • 動脈硬化
  • 脳梗塞
  • 認知症
  • 心筋梗塞・心内膜炎等の心臓疾患
  • 糖尿病
  • 骨粗鬆症  など

いずれも歯周病菌が原因で引き起こす可能性がある疾患となります。これらを予防するためにも口腔ケアは重要なケアの一つとなります。

6、誤嚥性肺炎の予防

誤嚥性肺炎では歯周病菌などの細菌が含まれた唾液や飲食物が誤って気管を通って肺に入ることで肺炎を引き起こし、毎年多くの高齢者の方が命を落としています。口腔ケアによって口腔内の細菌を減らすためも口腔ケアは重要です。

7、認知症の予防

歯磨きと認知症は一見すると、関連性がないように思う方もいるかもしれません。
しかしながら、歯磨きを行うことで、口腔内を清潔にするだけでなく、歯を磨く、うがいをするという動作は、筋力維持や脳への刺激にも効果があり、オーラルフレイルの予防にも効果があります。

介護(高齢者)施設での食後の口腔ケア

施設での口腔ケアを注意点や心がけについて整理いたします。

  • ご利用者に合った、口腔ケアの道具を揃え、個別にかつ衛生的に管理をしております。

・歯ブラシ・歯磨き粉・コップ・舌ブラシ・スポンジ(ハミングウッド)
・入れ歯ケース・ガーグルベースン、口腔内保湿ジェル等

歯ブラシ・歯磨き粉

コップ

舌ブラシ

1※スポンジ
(ハミングウッド)

入れ歯ケース

2※ガーグルベースン

口腔内保湿ジェル等

  1. ※スポンジ(ハミングウッド)⇒⇒ 歯・歯ぐき・口蓋(こうがい)・舌の汚れを効果的に除去する口腔用スポンジブラシです
  2. ※ガーグルベースン⇒⇒うがい受け。ベッド上などでうがいした水や嘔吐物を受けるのに使う、カーブした洗面器のようなものです。
  • ご本人に口腔ケア前に声をかけるなどして、ご本人の意思確認を行ってから実施します。
  • まずはご本人が出来る範囲で実施していただきます。
    ご本人の出来ることを少しでもやっていただき残存能力を活用することは、自立支援とリハビリにつながります。ご本人のペースややり方は基本的にはご本人にお任せし、職員は足りないところや、仕上げなどの支援をします。
  • 誤嚥をしないように、配慮をいたします。安全な姿勢で首が上を向かないように気を付けます。また、無理なうがいはせず、できない方はスポンジなどで拭き取るなどします。
  • 歯ブラシなどのケア用具は、使用後きれいに水で流し、乾燥させ保管します。また定期的に消毒などを行うようにし、汚れや毛先の広がりが出てきたら、交換します。
  • 歯科との連携を行い、口腔ケアが難しい方や口の中に異常がある方は速やかに歯科医師に連携を取り、指示をうけます。
  • 入居前に口腔ケアをされていなかった方も周りの皆さんが行っていたり、ちょっとした職員の声掛けをしたりすることで段々と習慣がつき、当たり前の習慣となっていきます。

    拒否をする方も中にはいらっしゃいますが、何かしらの原因があると思われますので、お声がけを工夫しながら、始めはうがいなどから試みていきます。

    この記事は歯科医師に監修されています

    昭和大学歯学部卒業
    医療法人社団あさがお会 法人統括診療部長

    佐藤 守 先生