お役立ち情報-口腔体操
咀嚼や発声がし易くなり、笑顔で過ごせるように口腔体操も行っております。
生きる源は、食べることであり、食べることは健康のバロメーターともなります。食べるためには、咀嚼(そしゃく)力と嚥下(えんげ)機能が必要です。
また、口で物を噛む運動が認知症の予防にもつながると言われています。反対に歯を失うことで認知症につながるリスクも増えるともされています。
特に誤嚥性肺炎等を発症しやすい高齢者の方々は特に必要性が高いケアです。
口腔体操とは
口まわりの筋肉のストレッチをすることで、その作用としてお口・舌の動きをスムーズにする、飲み込む・嚥下機能をよくする、噛む力・咀嚼能力をつける、滑舌をよくするなどです。
そのため、介護施設では食事の前から口腔ケアを行います。施設によっては、
- DVDを見ながら、口腔体操を行う
- 手書きのポスターなどを見ながら口腔体操を行う
- 大きな声で童謡など慣れ親しんだ歌を一曲歌う
などして、 食事の前に、口の周りやのどの筋肉を刺激するためにケアを行います。
このケアを行うことで、よく噛み、しっかりと飲み込める訓練をしています。
口腔体操の種類
では、介護施設ではどんな口腔体操をしているでしょうか?ここで少し紹介をいたします。
- 歌を歌って声を出す
- パタカラ体操
- 早口言葉
- 口腔体操用のDVD
朝はどこから♪
1番
朝はどこから来るかしら あの空越えて雲越えて
光の国から来るかしら いえいえそうではありません
それは希望の家庭から 朝が来る来る朝が来る
おはよう おはよう
2番
昼はどこから来るかしら あの山越えて野を越えて
ねんねの里からくるかしら いえいえそうではありません
それは働く家庭から 昼は来る来る昼は来る
こんにちは こんにちは
3番
夜はどこから来るかしら あの星越えて月越えて
おとぎの国からくるかしら いえいえそうではありません
それは楽しい家庭から 夜は来る来る夜は来る
こんばんは こんばんは
朝食前は1番、昼食前は2番、夕食前は3番をそれぞれ歌い、今がいつの食事か等も分かるよう、曲の選択を工夫している施設もあります。そのほか手指を使い「むすんでひらいて」などを手振り付きで行っている施設もあるようです。
「パ」・「タ」・「カ」・「ラ」の発音を使って行う口腔体操です。それぞれ意味があります。
「パ」お口の周りの筋肉強化
「タ」食べ物を口の中で押しつぶす力を強化
「カ」飲み込む力で、むせ込み、誤嚥の予防
「ラ」舌の動きで食べ物をのどに運ぶ力の強化
- パ×5回、タ×5回、カ×5回、ラ×5回
- パタカラを5回くりかえす
- パタカラ・パタカラ・パタカラを3セット
1回に1~3を行ないます。
「東京特許許可局」
「赤パジャマ青パジャマ黄パジャマ茶パジャマ」
「坊主が屏風に上手に坊主の絵を描いた」
などを、失敗しても楽しみながら発声しています。
DVDを見ながら、口腔体操を行っている施設などもあるようです。
DVDやYoutubeチャンネルなど多種多様の口腔体操があります。
高齢者の嚥下能力について
嚥下能力とは食べ物や飲み物を口から食道を通して胃に送り込む一連の動作を指します。
年齢とともに、この嚥下機能が低下し、様々な問題を引き起こします。
特に加齢によって口の周りの筋肉や舌の動きが弱まると、咀嚼し飲み込む力が低下していきます。
それと共に食べ物や飲み物が気道に入る「誤嚥(ごえん)」のリスクが高まり、窒息の原因にもなるばかりでなく、誤嚥性肺炎を引き起こす原因となります。
また、食事を摂取することが困難にもなり、必要な栄養素や水分を十分に摂取することが出来なくなり、栄養不足、脱水症状になりやすくなり全身の健康状態が悪循環を起こしてしまうこともあります。
その為、食後も必ず歯磨きを行ないます。出来る方はご自身で磨いていただきお手伝いが必要な方は、声掛け・見守り、お手伝いをして口腔内を清潔に保ちます。
口の中をきれいに保つことで菌などの感染を防ぎ、誤嚥性肺炎などのリスクが少なくなるよう、心掛けております。
この記事は歯科医師に監修されています
昭和大学歯学部卒業
医療法人社団あさがお会 法人統括診療部長
佐藤 守 先生